半数弱の企業が今後は年総労働時間を短縮の方針
(独)労働政策研究・研修機構(JILPT、菅野和夫理事長)は、「労働時間管理と効率的な働き方に関する調査」の結果をまとめた。調査は、全国の従業員規模100人以上の企業(農林漁業、鉱業、公務を除く)1万2000社を対象に、平成27年1月から2月にかけて実施し、有効回収した2412社(有効回収率20.1%)について集計している。
調査結果をみると、所定外労働の削減に向けて取り組んでいることが「ある」とする企業割合は92.6%となっており、具体的な取組内容としては(複数回答)、「実態(実際の労働時間等)の把握」が64.9%と最も多く、次いで、「長時間労働者やその上司等に対する注意喚起や助言」60.0%、「仕事の内容・分担の見直し」49.0%、「所定外労働の事前届出制の導入」43.6%、「休日労働に対する代休の付与」40.6%、「ノー残業デーの設定」40.1%の順となっている。そして、こうした取組みの結果、実際に所定外労働時間が「短縮された」とする企業割合は52.8%となっている。
また、年次有給休暇の取得促進に向けて取り組んでいることが「ある」とする企業割合は72.0%となっており、具体的な取組内容としては(複数回答)、「半日単位や時間単位での年休取得制度の導入」が64.1%と最も多く、次いで、「不測の事態に備えた特別休暇の拡充(病気休暇、看護休暇、介護休暇等)」27.7%、「連続休暇の奨励」27.3%、「年次有給休暇の計画的な付与制度の導入」25.3%の順となっている。そして、こうした取組みの結果、実際に年次有給休暇の取得数が「増えた」とする企業割合は35.1%で、「変わらない(よく分からない含む)」が60.2%となっている。
次に、年間総実労働時間の今後の方向性についてみると、「現状通りで良い」とする企業割合が49.2%、「短縮していく」が45.7%となっている。短縮の具体的な方法としては(複数回答)、「所定外労働時間の短縮」が79.7%と最も多く、次いで、「年次有給休暇の取得率の引上げ」47.2%、「多様な労働時間制度の導入」20.7%、「特別休暇日数の増加(育児、看護、介護関係)」13.2%の順となっている。
なお、年間総実労働時間を短縮していく理由については(複数回答)、「働き過ぎを防止するため(メンタルヘルス不全者の削減や健康の確保等)」(64.9%)が最も多く、これに、「仕事と家庭の両立など時短は社会的な要請となっているため」(58.5%)、「労働生産性を向上させるため(より効率の良い働き方を追求するため)」(58.3%)が続いている。