労基法等違反の送検事案等のHP一括掲載を開始
厚生労働省は、労働基準関係法令違反の疑いで送検し、公表した全国の事案の本省ホームページ一括掲載を先月から開始した。
これは、同省の「長時間労働削減推進本部」が昨年12月26日に決定した「『過労死等ゼロ』緊急対策」の取組みの1つ。掲載する事案は、(1)労働基準関係法令違反の疑いで送検し、公表した事案(送検事案)、(2)「違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業のトップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について」(平29・1・20 基発0120第1号)に基づき、局長が企業の経営トップに対し指導し、公表した事案(局長指導事案)──となっている。
都道府県労働局では、上記(1)または(2)に掲載し、本省では、全国の公表事案を取りまとめ、毎月掲載する。
掲載する内容は、①企業・事業場の名称、②所在地、③公表日、④違反法条項、⑤事案の概要、⑥その他参考事項(送検事案にあっては送検年月日)──となっている。
本省ホームページの初回の掲載(5月10日付)は、平成28年10月から平成29年3月までの間に公表した送検事案合計334件(局長指導事案は該当事案なし)。
違反法令別にみた件数は、労働安全衛生法違反が213件、労働基準法違反が61件、最低賃金法違反が59件、じん肺法違反が1件となっている(違反法令が複数ある事案については、労働安全衛生法違反と労働者派遣法違反の事案は労働安全衛生法違反として計上、最低賃金法違反と労働基準法違反の事案は最低賃金法違反として計上)。
都道府県別にみた件数では、最も多いのは愛知で28件、次いで、大阪20件、福岡19件、北海道16件、兵庫14件、沖縄12件、東京11件、岐阜と広島がともに10件の順となった。
労働基準法違反の事案の内容をみると、違法な時間外・休日労働、定期賃金・割増賃金の不払いなど、賃金や労働時間に関するものが圧倒的に多いが、中には、労働基準監督官から臨検監督を受けた際に、虚偽の記載をした日報及び点呼簿を提出したもの、外国人留学生の労働者に強制労働をさせたものなどもある。
なお、掲載期間は公表日から概ね1年間。同省では、今後本省ホームページの掲載を毎月1回更新することとしている。