労働条件を書面で交付していないものが60%
厚生労働省は、「高校生に対するアルバイトに関する意識等調査」の結果をまとめた。調査は、同省が平成27年度に委託事業で行った労働法セミナーに参加した高校生約4000人のうち、アルバイト経験がある1854人について平成27年12月から28年2月にかけて実施している。
調査結果をみると、アルバイトをする際の労働条件の明示に関しては、「働く前に会社から労働条件が記載された書面を渡され、知らされた(書面を持ち帰った)」36.3%、「働く前に口頭で知らされた(労働条件が記載された書面はなかった)」26.2%、「働く前に具体的な説明はなかった」18.0%、「働く前に会社から労働条件が記載された書面を見せられ、知らされた(書面は見せてもらえたが持ち帰ることはできなかった)」15.8%──となっており、労働条件を示した書面を交付されていないものが全体の60.0%あった。
明示された労働条件の内容については、「覚えていない」とする者が44.9%と半数近くを占めている。明示されていた事項では、勤務場所、業務内容、勤務時間、勤務日、アルバイト代の金額、アルバイト代の支払日、アルバイト代の支払方法──などは約40%となっているが、一方、早出・残業の有無(18.8%)、年次有給休暇の日数(15.5%)、退職に関すること(18.3%)などは低くなっている。
労働条件に関するトラブルについてみると、全体の32.6%の者が何らかのトラブルがあったとしている。トラブルの内容で労働基準関係法令違反のおそれがあるものとしては、「1日に労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかった」4.8%、「働いた時間分の全てがアルバイト代として計算されていない」3.8%、「準備や片付けの時間に賃金が支払われなかった」3.8%、「1日8時間、1週40時間を超える労働について、割増賃金が支払われなかった」3.4%、「本来禁止されている深夜労働・休日労働をさせられた」2.2%──などとなった。
そのほかのトラブルとしては、「採用時に合意した以上のシフトを入れられた」(11.2%)、「採用時に合意した仕事以外の仕事をさせられた」(8.8%)、「一方的に勤務シフトの変更を命じられた」(7.0%)、「一方的にシフトを削られた」5.8%などとなっている。