労働協約への反映は「育介休業関係」が最も高い
厚生労働省は、平成27年「労使間の交渉等に関する実態調査」の結果をまとめた。この調査は、労使間で行われる団体交渉、労働争議及び労働協約の締結などについて実施したもので、従来の「労働組合実態調査」、「労働組合活動実態調査」、「労働協約等実態調査」、「団体交渉と労働争議に関する実態調査」を再編したもの。調査対象は、民営事業所における労働組合員30人以上の労働組合のうちから一定の方法により抽出した約5200労働組合で、平成27年6月30日現在に状況について同年7月に調査を行い、有効回答のあった3215労働組合について集計している(有効回答率62.0%)。
調査結果をみると、労働組合における労使関係の認識は、「安定的に維持されている」49.7%、「おおむね安定的に維持されている」38.1%、「どちらともいえない」8.1%、「やや不安定である」3.2%、「不安定である」0.9%となっており、9割近くが「安定的」と認識している。
正社員以外の労働者に関する状況では、過去1年間(平成26年7月~27年6月)に使用者側と正社員以外の労働者に関する事項について話合いが持たれた労働組合の割合は48.9%となっている。産業別にみると、「宿泊業、飲食サービス業」(75.1%)、「卸売業、小売業」(60.6%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(59.0%)、「医療、福祉」(58.9%)などで高くなった。
また、話合いが持たれた事項をみると(複数回答)、「正社員以外の労働者の労働条件」が35.3%と最も高く、次いで、「有期契約労働者の雇入れに関する事項」24.6%、「正社員以外の労働者の正社員への登用制度」24.2%の順となっている。
正社員以外の労働者の雇用形態の種類ごとに、それぞれの労働者が事業所にいる労働組合について「組合加入資格がある」割合をみると、「パートタイム労働者」35.6%、「有期契約労働者」39.9%、「派遣労働者」11.1%「嘱託労働者」35.6%となっている。また、実際に「組合員がいる」割合は、「パートタイム労働者」24.9%、「有期契約労働者」29.7%、「派遣労働者」1.3%、「嘱託労働者」26.2%となった。
次に、団体交渉の状況をみると、過去3年間(平成24年7月~27年6月)に使用者側との間で「団体交渉を行った」割合は67.8%となっている。団体交渉を行った労働組合について交渉形態をみると(複数回答)、「当該労働組合のみで交渉」が87.7%と最も多く、次いで、「企業内上部組織又は企業内下部組織と一緒に交渉」11.4%、「企業外上部組織(産業別組織)と一緒に交渉」3.0%などとなっている。
労働協約の締結状況をみると、「締結している」93.4%、「締結していない」6.5%となっており、労働協約を締結している労働組合について労働協約の締結主体をみると、「当該労働組合において締結」が57.7%と過半数を占めており、ほかでは、「上部組織において締結」30.5%、「当該労働組合及び上部組織双方において締結」8.7%となっている。
労使間の交渉状況(新規調査項目)をみると、過去3年間に「何らかの労使間の交渉があった」事項としては、「賃金額」(70.1%)、「賃金制度」(55.6%)、「職場環境に関する事項」(52.1%)などが多い。また、「何らかの労使間交渉があった」事項のうち、「使用者側と話合いが持たれた」事項をみると、「所定外・休日労働」98.1%、「賃金制度」97.4%、「所定内労働時間」96.7%などとなった。
「何らかの労使間交渉があった」結果、「労働協約の改定がなされた又は新たに労働協約の規定が設けられた」とする割合を事項別にみると、「育児休業制度、介護休業制度、看護休暇制度」29.7%、「賃金制度」24.7%、「賃金額」23.0%、「休日・休暇」23.0%などとなっている。