労働力不足への対処法は「正社員増やす」が約6割
厚生労働省は、「労働経済動向調査(平成28年8月)」の結果をまとめた。
調査結果によると、28年8月1日現在の労働者過不足状況は、正社員等労働者を「不足」とする事業所割合は36%、一方、「過剰」とする事業所割合は3%となっている。この結果、正社員等労働者過不足判断指数(「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値)はプラス33ポイントとなり、23年8月以降21期連続して不足超過となった。
これを産業別にみると、すべての業種で不足超過となっており、「運輸業、郵便業」(プラス47ポイント)、「医療、福祉」(同47ポイント)、「学術研究、専門・技術サービス業」(同38ポイント)、「建設業」(同37ポイント)での不足超過幅が大きい。
次に、雇用調整を実施した事業所割合(28年4~6月期実績)は28%で、前期(28年1~3月期=26%)より2ポイント増加した。雇用調整の実施方法をみると(複数回答)、「配置転換」が14%(前期12%)と最も高く、次いで、「残業規制」10%(前期11%)、「休日の振替、夏季休暇等の休日・休暇の増加」9%(同8%)、「出向」7%(同6%)──の順となった。
産業別にみた雇用調整実施事業所の割合は、「建設業」22%(前期20%)、「製造業」32%(同31%)、「情報通信業」26%(同31%)、「運輸業、郵便業」26%(同24%)、「卸売業、小売業」27%(同27%)、「金融業、保険業」26%(同27%)、「不動産業、物品賃貸業」29%(同30%)、「学術研究、専門・技術サービス業」39%(同29%)、「宿泊業、飲食サービス業」28%(同16%)、「生活関連サービス業、娯楽業」19%(同12%)、「医療、福祉」30%(同24%)、「サービス業」21%(同25%)となっている。
今回調査の特別調査項目である現在不足している労働力に対する対処方法について、過去1年間、今後1年間でみると(複数回答)、過去1年間及び今後1年間ともに、「正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加」が最も高く(過去1年間:62%、今後1年間:63%)、次いで、「臨時、パートタイムの増加」(同46%、同45%)、「派遣労働者の活用」(同37%、同34%)、「離転職の防止策の強化、又は再雇用制度、定年延長、継続雇用」(同31%、同32%)、「在職者の労働条件の改善(賃金)」(同29%、同25%)の順となった。