助成率を最大5分の4、上限を200万円に引上げ

 厚生労働省は、中小企業が生産性向上のために設備投資などを行い、事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などに要した費用の一部を助成する「業務改善助成金」の拡充を決めた。それによると、これまで同助成金の対象となっていなかった東京、愛知、大阪など7都府県も対象に加え全都道府県を対象とするほか、助成率・上限額の引き上げも行う。

 拡充前の同助成金は、生産性向上のためのコンサルティングを受けたり、設備投資などを行い、事業場内で最も低い時間給(または時間換算額)800円未満の労働者の賃金を60円以上引き上げることが支給要件となっていた。助成金の支給額は、業務改善に要した経費の2分の1(常時使用する労働者数が30人以下の企業は4分の3)となっていた(上限100万円)。

 今回の拡充では、支給対象を事業場内の最低賃金が800円未満の事業場から1000円未満の事業場としている。これにより、これまでは支給対象外だった埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪の7都府県に所在する中小企業も対象になる。また、引上げが必要な額も「60円以上」から「30円以上」に緩和している。加えて、助成率・上限額を引き上げ額に応じ拡大した。

 拡充後の支給要件・支給額は、①事業場内最低賃金が750円未満の事業場は、引上げ額30円以上(助成率10分の7(規模30人以下は4分の3)、上限額50万円~100万円)、②事業場内最低賃金が800円未満の事業場は、引上げ額40円以上(同10分の7(同4分の3)、同70万円~100万円)、③事業場内最低賃金が1000円未満の事業場は、引上げ額60円以上(同2分の1(同4分の3)、同100万円)──となっている。

 さらに、事業場内最低賃金が800円以上1000円未満の事業場が大幅な引上げを行った場合の助成措置として、引き上げ額90円以上では助成率を10分の7(規模30人以下は4分の3)としている。なお、この場合の上限額は、引上げ額90円以上では150万円、同120円以上では200万円となる。

 また、一定の生産性要件を満たした場合には助成率を4分の3(規模30人以下は5分の4)に増額する(事業場内最低賃金が800円以上1000円未満の事業場では、90円以上の引上げが対象)。