全体の63%の事業場で違法な時間外労働を確認
厚生労働省は、今年4月から6月までに実施した長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果をまとめた。この監督指導は、長時間労働削減推進本部(本部長・塩崎恭久厚生労働大臣)の指示の下、今年から実施しているもの。対象事業場は、1ヵ月当たり100時間を超える時間外労働が行われている事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があったすべての事業場となっている。
監督指導の結果をみると、監督を行った2362事業場のうち、1921事業場(全体の81.3%)で労働基準関係法令違反が認められた。
主な違反内容は、違法な時間外労働があったものが1479事業場(全体の62.6%)、賃金不払残業があったものが252事業場(同10.7%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが406事業場(同17.2%)となっている。
主な業種別(監督実施事業場数が100を超えるもの)の違反率をみると、運輸交通業が90.7%と最も高く、次いで、接客娯楽業90.4%、製造業83.7%、商業78.7%、建設業75.2%の順となっている。
また、違反事項別では、違法な時間外労働は、運輸交通業が81.4%と最も高く、次いで、接客娯楽業73.1%、製造業70.8%、商業58.2%の順となった。賃金不払残業は、建設業が14.6%と最も高く、次いで、商業14.1%、接客娯楽業12.0%、運輸交通業10.2%の順となっている。
違法な時間外労働があった事業場のうち、時間外労働の実績(法定労働時間を超える労働及び法定休日における労働)が最も長い労働者の時間数が1ヵ月当たり100時間を超えるものが921事業場(62.3%)、うち150時間を超えるものが203事業場(13.7%)、同200時間を超えるものが35事業場(2.4%)、同250時間を超えるものが12事業場(0.8%)となっている。
また、賃金不払残業があった事業場のうち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が1ヵ月当たり100時間を超えるものが118事業場(46.8%)となった。
次に、主な健康障害防止に関する指導状況をみると、過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したものが1932事業場(全体の81.7%)、そのうち時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導したものが1471事業場(同62.3%)となっている。また、労働時間の把握方法が不適正なため指導したものが475事業場(全体の20.1%)、そのうち時間外労働の最も長い労働者の時間数が1ヵ月当たり100時間を超えるものが159事業場(指導した事業場の33.5%)となった。