保護の必要性・方法は今後の精力的な議論が必要

請負や自営など雇用によらない働き方の実態等を把握し、それらの働き方に関する法的保護の必要性を検討していた厚生労働省の「雇用類似の働き方に関する検討会」(座長・鎌田耕一東洋大学法学部教授)が報告書をまとめた。

同検討会は、働き方改革実行計画(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)で、「雇用類似の働き方に関する保護等の在り方について、法的保護の必要性も含めて中長期的に検討する」とされたことを受けて設置されたもの。

検討会では、雇用類似の働き方に関する現状について、団体等からのヒアリング、独立自営業者を対象としたウェブ調査などを基に、①就業状況等、②契約書の作成、重視する内容等、③契約条件の決め方、交渉等、④契約の相手先の数等、⑤受注ルート等、⑥仕事をする時間や場所等、⑦トラブル・仕事上の悩み等、⑧制度の希望等、⑨クラウドソーシング等──の実態を整理した。

そのうえで、雇用類似の働き方に関する保護等のあり方及び今後の検討課題について、「今後、事業者間取引としてのみとらえるか、労働者に準じるものとしてとらえるかといった点について、更に議論を深めていくことが必要」とした。加えて、「その際、安心・納得して働くことができるようにし、働く人にとっても経済社会全体の付加価値の源泉としても望まれる働き方となるようにするためにはどうしたらよいかという観点から、「雇用類似の働き方の者」や保護の内容をどのように考えるかといった点も並行しつつ、精力的に議論を進めることが求められる」とした。

また、保護のあり方については、「保護する必要があるとすれば、ガイドラインの策定、労働者性の範囲の解釈の拡大や労働者概念の再定義、労働関係法令等の保護を拡張して与える制度を用意等の様々な方法が考えられるが、保護の必要性について検討する中で議論すべき」としている。

「雇用類似の働き方の者」をどうとらえるかについては、「雇用関係によらない働き方の者について様々な課題が考えられる中、その課題に対応する保護の内容によって、対象者の具体的な要件が必ずしも同一になるとは限らない」とし、「現時点においては、画一的に定義することは困難と考えられる」と指摘した。そして、「保護の必要性も含め、種々の課題に対応すべき保護の内容とともに、引き続き、実態把握を行いつつ、分析をしていくことが必要と考えられる」とした。