使用者による障害者虐待認められた事業所518ヵ所

厚生労働省は、平成28年度「使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表した。これは、平成24年に施行された「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づき公表しているもの。

それによると、労働局に寄せられた使用者(障害者を雇用する事業主や職場の上司など)による障害者虐待の通報・届出のあった事業所数は1316事業所、通報・届出の対象となった障害者数は1697人、使用者による障害者虐待が認められた事業所数は581事業所、虐待が認められた障害者数は972人、虐待を行った使用者数は591人となっている(障害者虐待が認められた事業所は、届出・通報の時期、内容が異なる場合は複数計上している)。

前年度との比較では、いずれも減少しており、通報・届出のあった事業所数は0.7%減少、通報・届出の対象となった障害者数は11.9%減少、虐待が認められた事業所数は1.7%減少、虐待が認められた障害者数は13.4%減少、虐待を行った使用者数は2.0%減少となった。

使用者による障害者虐待が認められた事業所を規模別にみると、5~29人が289事業所(全体の49.7%)と最も多く、次いで、5人未満が117事業所(同20.1%)、30~49人が74事業所(同12.7%)となっており、50人未満の規模で全体の8割以上を占めている。また、業種別では、製造業が210事業所(全体の36.1%)と最も多く、次いで、医療、福祉109事業所(同18.8%)、卸売業、小売業69事業所(11.9%)、サービス業(他に分類されないもの)41事業所(同7.1%)、宿泊業、飲食サービス業34事業所(同5.9%)の順となっている。

虐待が認められた障害者の障害種別は、身体障害209人、知的障害530人、精神障害234人、発達障害20人となっている(重複しているものがある)。

受けていた虐待の種別をみると、「経済的虐待」(賃金不払、最低賃金の効力に関する違反を含む)852人、「心理的虐待」115人、「身体的虐待」57人、「放置等による虐待」14人、「性的虐待」6人などとなった(重複しているものがある)。

次に、使用者による障害者虐待が認められた場合に労働局がとった措置は、1022件(対前年度比10.7%減)となっており、内訳は、労働基準関係法令に基づく指導等が875件(うち最低賃金法関係600件)、障害者雇用促進法に基づく助言・指導等が132件、個別労働紛争解決促進法に基づく助言・指導、あっせんが10件、男女雇用機会均等法等関係法令に基づく助言・指導、紛争解決の援助等が5件となっている。