使用者による障害者虐待あった事業所が507ヵ所
厚生労働省は、平成27年度「使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表した。これは、平成24年10月に施行された「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づき公表しているもの。
それによると、労働局に寄せられた使用者(障害者を雇用する事業主や職場の上司など)による障害者虐待の通報・届出のあった事業所は1325事業所、使用者による障害者虐待が認められた事業所は507事業所、虐待を行った使用者は519人、虐待を受けていた障害者は970人となった(障害者虐待が認められた事業所は、届出・通報の時期、内容が異なる場合は複数計上している)。
前年度との比較では、いずれも増加しており、通報・届出のあった事業所は34.5%増、虐待が認められた事業所は69.6%増、虐待を行った使用者は66.9%増、虐待を受けていた障害者は100.8%増となっている。
使用者による障害者虐待が認められた事業所を規模別にみると、5~29人が269事業所(全体の53.1%)と最も多く、次いで、5人未満が81事業所(同16.0%)、30~49人が77事業所(同15.2%)となっており、50人未満の規模で全体の8割以上を占めている。また、業種別では、製造業が192事業所(全体の37.9%)と最も多く、次いで、医療、福祉106事業所(同20.9%)、卸売業、小売業49事業所(9.7%)、サービス業(他に分類されないもの)44事業所(同8.7%)、宿泊業、飲食サービス業29事業所(同5.7%)の順となった。
虐待を行っていた使用者の内訳は、事業主450人、所属の上司48人、所属以外の上司2人、その他19人となっている。
また、虐待を受けていた障害者の障害種別は、身体障害209人、知的障害553人、精神障害202人、発達障害27人となっている(重複しているものがある)。受けていた虐待の種別をみると、「経済的虐待」(賃金不払、最低賃金の効力に関する違反を含む)855人、「心理的虐待」75人、「身体的虐待」73人、「性的虐待」10人などとなった(重複しているものがある)。
次に、使用者による障害者虐待と認められた事業所への措置についてみると、労働局等が所管する法令に基づいて採った措置は978件(26年度492件)となっており、内訳は、労働基準関係法令に基づく指導等が875件(同429件)(うち最低賃金法関係596件)(同380件)、障害者雇用促進法に基づく助言・指導が79件(同49件)、男女雇用機会均等法に基づく助言・指導が10件(同8件)、個別労働紛争解決促進法に基づく助言・指導が14件(同6件)となった(1事業所で使用者による障害者虐待が複数認められたものは複数計上)。