使用者による障害者虐待あった事業所が299ヵ所
厚生労働省は、平成26年度「使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表した。これは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づき公表しているもの。
それによると、労働局に寄せられた使用者(障害者を雇用する事業主や職場の上司など)による障害者虐待の通報・届出のあった事業所は985事業所、使用者による障害者虐待が認められた事業所は299事業所、虐待を行った使用者は311人、虐待を受けていた障害者は483人となっている(障害者虐待が認められた事業所は、届出・通報の時期、内容が異なる場合は複数計上している)。
前年度との比較では、いずれも増加しており、通報・届出のあった事業所は27.1%増、虐待が認められた事業所は18.2%増、虐待を行った使用者は19.6%増、虐待を受けていた障害者は22.9%増となっている。
使用者による障害者虐待が認められた事業所を規模別にみると、5~29人が151事業所(全体の50.5%)と最も多く、次いで、30~49人が50事業所(同16.7%)、5人未満が44事業所(同14.7%)となっており、50人未満の規模で全体の8割以上を占めている。また、業種別では、製造業が116事業所(全体の38.8%)と最も多く、次いで、医療、福祉45事業所(同15.1%)、卸売業、小売業32事業所(10.7%)、生活関連サービス業、娯楽業27事業所(同9.0%)、サービス業(他に分類されないもの)21事業所(同7.0%)の順となっている。
虐待を行っていた使用者の内訳は、事業主258人、所属の上司43人、所属以外の上司1人、その他9人となっている。
また、虐待を受けていた障害者の障害種別は、身体障害67人、知的障害362人、精神障害52人、発達障害11人となっている(重複しているものがある)。受けていた虐待の種別をみると、「経済的虐待」(賃金不払、最低賃金の効力に関する違反を含む)419人、「心理的虐待」39人、「身体的虐待」23人、「性的虐待」8人などとなっている(重複しているものがある)。
次に、使用者による障害者虐待と認められた事業所への措置についてみると、労働局等が所管する法令に基づいて採った措置は492件(25年度389件)となっており、内訳は、労働基準関係法令に基づく指導等が429件(同341件)(うち最低賃金法関係380件(同308件))、障害者雇用促進法に基づく助言・指導が49件(同37件)、男女雇用機会均等法に基づく助言・指導が8件(同2件)、個別労働紛争解決促進法に基づく助言・指導が6件(同9件)となっている(1事業所で使用者による障害者虐待が複数認められたものは複数計上)。