会社分割の前後で「同一の賃金額を維持」が8割
厚生労働省は、「企業組織再編に伴う労働関係上の諸問題に関する調査」(企業調査、労働組合調査)の結果をまとめた。調査結果の中から企業調査(無作為抽出した常用労働者100人以上の約1万社を対象に27年12月~28年1月実施。有効回収数1548件)の結果をみると、過去3年間の組織再編の有無は(複数回答)、「分割会社として会社分割をした」1.3%、「承継会社として事業を受けた」1.6%、「設立会社として事業を受けた」0.4%、「事業を他社へ譲渡した」2.8%、「事業を他社から譲り受けた」5.7%、「合併があった」5.8%(単独回答)となっている。
会社分割をした企業について、分割の状況、労働者の状況などをみると、分割の目的は(複数回答)、「グループ内の組織再編のため」60.0%、「本業に経営資源を集中し、経営効率を高めるため」40.0%、「採算性の高い部門を切り離し、企業再生を図るため」35.0%などとなっている。承継会社等(承継会社または設立会社)との関係は、「以前から存在するグループ内の企業」60.0%、「会社分割に伴い新たにグループ化された企業」35.0%となっている。
会社分割に伴う移籍の対象となった労働者は(複数回答)、「承継される事業に「主として従事」していた労働者」80.0%、「承継される事業に「従として従事」していた労働者」30.0%などとなっている。移籍した労働者の主な移籍の方法としては(複数回答)、「労働者の労働契約を分割契約等に記載して承継会社等に承継させた」40.0%、「いわゆる転籍合意方式」40.0%となっている。
会社分割に伴う労働者の賃金額の変化については、「会社分割前後で同一の賃金額を維持した」が80.0%となっているが、「賃金額は低下した」も5.0%ある。労働協約の取扱いについては(複数回答)、「労働協約の規範的部分が承継された」が55.0%と最も多く、次いで、「労働協約の債務的部分が承継された」35.0%、「労働協約は承継されなかった」15.0%などとなっている。
また、会社分割に関する労働組合等との協議等に関しては(複数回答)、「労働組合と事前に協議した」30.0%、「労働者代表、社員会等の社員組織と協議はしなかったが、事前に通知・提供した」15.0%、「労働者代表、社員会等の社員組織と事前に協議した」10.0%となっている。