企画業務型は適用報告したすべての事業場に実施
裁量労働制の適用・運用実態を正確に把握し得る調査手法について検討していた厚生労働省の「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」(座長・西郷浩早稲田大学政治経済学術院教授)が調査の概要・調査票(案)をまとめた。
同検討会は、昨年6月に成立した働き方改革法の国会審議において、法案に対する附帯決議で、「裁量労働制については、今回発覚した平成25年度労働時間等総合実態調査の公的統計としての有意性・信頼性に関わる問題を真摯に反省し、改めて、現行の専門業務型及び企画業務型それぞれの裁量労働制の適用・運用実態を正確に把握しうる調査手法の設計を労使関係者の意見を聴きながら検討し、包括的な再調査を実施すること。その上で、現行の裁量労働制の制度の適正化を図るための制度改革案について検討を実施し、労働政策審議会における議論を行った上で早期に適正化策の実行を図ること」(平成30年6月28日参議院厚生労働委員会)などとされたのを踏まえ設置されたもの。
調査の概要(案)では、調査対象は事業場調査及び労働者調査とし、裁量労働制適用事業場だけでなく、非適用事業場も対象とする。企画業務型裁量労働制については、平成29年度下半期報告を行ったすべての事業場を対象とする。
調査方法は、調査票を事業場に郵送(労働者調査票は事業場から配布)し、郵送により回収する。なお、労働者票の回収は、労働者自身が厳封のうえ、事業場で回収する(開封または開封跡がある場合は無効)。
裁量労働制適用事業場の調査事項では、業務遂行における裁量の程度を把握するため、具体的な仕事内容、進捗報告の頻度、業務の遂行方法、時間配分等、出退勤時間などを調べる。また、本人の同意・撤回の手続、同意の際の裁量労働制の説明の有無、平成30年度に同意が得られなかった者・同意を撤回した者の人数、同意撤回の理由などについても調査する。
裁量労働制適用労働者の調査事項では、1週間の労働日数、1週間の労働時間・昨年同時期の労働時間との比較、みなし労働時間の認識、労働時間の状況の把握方法、深夜・休日労働等の頻度などの労働時間に関する事項のほか、健康診断の受診の有無、現在の健康状態・1年前の健康状態との比較、健康上の不安を相談できる体制の有無、仕事のある日・ない日の睡眠時間などの健康状態についても調査する。
同省では、近く調査票を確定し、一般統計として総務大臣の承認を受けた後、来年度にも裁量労働制の実態調査を実施することとしている。