企業就労で「生涯現役」を推進する制度などを検討

厚生労働省はこのほど、「生涯現役社会」の実現のための道筋をより確かなものとするために必要となる制度・施策の方向性を検討する「生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会」(座長・清家篤慶応義塾長)を設置し、第1回会合を先月12日に開催した。

我が国の人口は今後減少が見込まれ、また、団塊の世代が65歳に達する中で、65歳以降の就業者数は増加している。総務省統計局の「労働力調査」の結果によると、高年齢者の人口に占める就業者の比率は近年上昇傾向にあり、2003年から2012年の10年間は19%台で推移していたが、2013年は20.1%となっている。

こうした中、「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)では、「誰もが生涯現役で活躍できる社会を構築するため、65歳を過ぎても働ける企業の普及促進を行うとともに、高齢者が身近な地域や人材を必要としている他の地域での就労、ボランティアなどの社会参加活動への参加を積極的にしやすい環境を整備する」とされている。

同省では2013年に、「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」(座長・大橋勇雄中央大学大学院戦略経営研究科教授)を設け、主に地域社会の中での高齢者の就労・社会参加のあり方について検討を行った。同検討会は、①高齢期の就労・社会参加に向けた意識改革、②シルバー人材センター等の活性化、③専門的な知識や技術、経験を他の企業で活かす仕組みのあり方──などについて提言している。

今回の検討会では、企業における就労をメインに、生涯現役社会の実現を推進していくための制度・施策について検討することとしている。その主な論点は、(1)企業における高年齢者の雇用の促進、(2)中年期以降における職業生活設計のための環境整備、(3)中年期以降の再就職の促進、(4)高年齢者の多様な就業の場の確保──など。検討会は、今後月1~2回程度会合を開き、今年5月を目途に報告書をとりまとめる予定。