介護休業を3回まで分割取得できる制度に

労働政策審議会(会長・樋口美雄慶應義塾大学商学部教授)は昨年12月21日、仕事と家庭の両立支援対策の充実について、通算93日の介護休業を3回まで分割取得できる制度とするのが適当──などとした建議を塩崎厚労相に行った。建議はこのほか、介護休暇・子の看護休暇について、半日単位の取得を可能とすること、また、介護のための所定外労働の免除を、介護終了までの期間請求できる権利とする仕組みを設けることなどを提案している。厚生労働省は、建議を踏まえた育児・介護休業法改正案を今国会に提出する予定。

  •  同審議会雇用均等分科会(分科会長・田島優子弁護士)は、平成22年6月30日施行の改正育児・介護休業法附則第7条による改正法施行5年経過後の検討規定を受けて、27年9月から、改正法の施行状況などを勘案し仕事と家庭の両立支援対策の充実について検討を重ねてきた。建議は、その検討結果に基づくもので、⑴介護離職を防止し、仕事と介護の両立を可能とするための制度の整備、⑵多様な家族形態・雇用形態に対応した育児期の両立支援制度等の整備──について、育児・介護休業法改正などによる制度の見直しを提案している。

    その主な内容は、まず、介護休業の取得に関して、対象家族1人につき通算93日まで、要介護状態に至るごとに1回としている現行制度について、対象家族1人につき3回を上限として、通算93日まで分割取得できることとするのが適当としている。介護休暇(年5日)の取得単位については、半日(所定労働時間の2分の1)単位の取得を可能とすることを提案している。

    また、現行制度では介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能となっている介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)について、介護休業から独立させ、3年間で少なくとも2回以上利用できる制度とするのが適当としている。なお、義務となる措置内容は、現行のままとすることが適当とした。

    さらに、新たな制度として、介護のための所定外労働の免除を、介護休業終了までの期間について請求できる権利として法制化することを打ち出している。このほか、介護休業等の対象家族の範囲の拡大として、現行制度では同居かつ扶養していることを要件としている祖父母、兄弟姉妹、孫について、同居・扶養要件を外すことなどを提案している。

    次に、育児休業制度の関係では、有期契約労働者の育児休業の取得要件について、現行では、①同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること、②子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること(子が1歳に達する日から1年を経過する日までの間に、労働契約期間が満了し、かつ、労働契約の更新がないことが明らかである者を除く)──としている要件を緩和し、①同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること、②子が1歳6ヵ月に達するまでの間に、労働契約期間が満了し、かつ、労働契約の更新がないことが明らかである者を除く──とするのが適当としている。

    また、子の看護休暇(年5日)の取得単位については、介護休暇と同じく半日単位を認めることを提案している。

    厚生労働省は、建議の内容に沿って育児・介護休業法改正案(要綱)を作成し、同審議会への諮問・答申を経た後、改正法案を今国会に提出することとしている。(6ページ以下に関連特集記事)