今後5年先見据え副業・兼業に積極的な者が37%
(独)労働政策研究・研修機構(JILPT、樋口美雄理事長)は、「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査)」の結果をまとめた。調査は、全国の従業員100人以上の企業1万2000社とそこで働く正社員9万6000人を対象に2018年2月から3月にかけて実施し、有効回収した2260件(企業調査:有効回収率18.8%)、1万2355件(労働者調査:有効回収率12.9%)について集計している。
調査結果の中から、副業・兼業に関する部分をみると、企業調査による従業員の副業・兼業に関する意向では、「副業・兼業の許可する予定はない」が75.8%と最も高く、ほかでは、「副業・兼業を許可している」11.2%、「副業・兼業の許可を検討している」8.4%となっている。
「副業・兼業を許可している」または「副業・兼業の許可を検討している」とする企業の許可の理由をみると(複数回答)、「従業員の収入増加につながるため」が53.6%と最も多く、次いで、「従業員が活躍できる場を広げるため」31.7%、「従業員のモチベーションの維持・向上につながるため」31.4%、「従業員の視野の拡大や能力開発につながるため」27.6%の順となった。
一方、「副業・兼業の許可する予定はない」とする企業の許可しない理由をみると(複数回答)、「過重労働となり、本業に支障をきたすため」が82.7%と最も多く、次いで、「労働時間の管理・把握が困難になる」45.3%、「職場の他の従業員の業務負担が増大する懸念があるため」35.2%、「組織内の知識や技術の漏えいが懸念されるため(企業としてクローズド・イノベーションを重視)」31.4%、「人材の流出につながる懸念がある」28.4%の順となっている。
次に、労働者の副業・兼業の意向をみると、今後、5年先を見据えた際の副業・兼業の意向は、副業・兼業を「新しくはじめたい」23.2%、「機会・時間を増やしたい」13.8%、「機会・時間を減らしたい」1.3%、「するつもりはない」56.1%となった。
今後、5年先を見据えて副業・兼業の実施に積極的な者(「新しくはじめたい」及び「機会・時間を増やしたい」と回答した者)の副業・兼業を望む理由をみると(3つまでの複数回答)、「収入を増やしたいから」が85.1%と最も多く、次いで、「自分が活躍できる場を広げたいから」53.5%、「様々な分野における人脈を構築したいから」41.7%、「組織外の知識や技術を積極的に取り込むため(オープン・イノベーションを重視)」36.6%などとなっている。
一方、今後、5年先を見据えて副業・兼業の実施に消極的な者(副業・兼業を「するつもりはない」及び「機会・時間を減らしたい」と回答した者)の副業・兼業を望まない理由をみると(3つまでの複数回答)、「過重労働となり、本業に支障をきたすため」が61.6%と最も多く、次いで、「家族や友人と過ごす時間を重視するため」56.5%、「勤め先企業で禁止されているから」40.4%、「現在の収入で十分生活できるから」29.1%などとなった。