今年度中に導入マニュアル作成を目指す

厚生労働省は、「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」(座長・今野浩一郎学習院さくらアカデミー長)を設置し、制度の普及促進に向けた方策の検討を開始した。「勤務間インターバル制度」は、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設け、労働者の生活・睡眠時間を確保するもの。検討会では、国内における勤務間インターバル制度の実態把握などを行い、制度の普及促進を図るための方策を検討する。そして、今年度中に制度導入マニュアルを作成することが考えられている。

 今年3月28日に政府の働き方改革実現会議が決定した「働き方改革実行計画」では、勤務間インターバル制度に関して、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法を改正し、事業者は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならない旨の努力義務を課し、制度の普及促進に向けて、政府は労使関係者を含む有識者検討会を立ち上げる。また、政府は、同制度を導入する中小企業への助成金の活用や好事例の周知を通じて、取り組みを推進する」としている。

国内で同制度を導入している企業はまだ少ない。「過労死等に関する実態把握のための社会面の調査研究事業」(平成27年度厚生労働省委託事業)による調査結果によれば、制度を導入している企業割合は2.2%にとどまっている。制度を導入していない企業における今後の導入意向をみると、「導入する予定である」が0.4%、また、「導入の是非を検討したい」が8.2%、一方、「導入の是非を検討する予定はない」が60.5%となっている。

検討会は、国内における制度の導入状況などの実態や課題の把握、諸外国における制度と運用状況の把握などを行い、制度の導入促進を図るための方策を検討することとしている。近く開催される2回目の会合では、制度を導入している企業が事例発表(3社程度)を行い、意見交換を行う予定。また、3回目以降の会合では、労働組合の取組みなども参考に検討を進める。そして、今年度中には検討結果を取りまとめる方針で、制度の普及促進を図るための方策の1つとして、導入マニュアルの作成が考えられている。

なお、勤務間インターバル制度についての法整備に関しては、労働政策審議会労働条件分科会において、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の改正が検討されている。同分科会では、同法に、勤務間インターバル導入に関する事業主の努力義務規定を新設し、法に基づく指針に、新たに「終業時刻及び始業時刻」の項目を設け、「前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息時間を確保すること(勤務間インターバル)は、労働者の健康確保に資するものであることから、労使で導入に向けた具体的な方策を検討すること」などを追加する案が出されている。