人材(人手)不足が「経営に影響及ぼす」が66%
(独)労働政策研究・研修機構(JILPT、菅野和夫理事長)は、「人材(人手)不足の現状等に関する調査(企業調査)及び働き方のあり方等に関する調査(労働者調査)結果」をまとめた。調査は、全国(農林漁業、鉱業、公務を除く)の従業員規模30人以上の企業1万2000社と同企業で働く正社員6万人を対象に、平成28年1月から2月にかけて実施しており、有効回収した2406社(有効回収率20.1%)、7777人(同13.0%)について集計している。
調査結果の中から、企業調査についてみると、人材(人手)不足を生じていると回答した企業(全体の52.1%)における企業経営に及ぼす影響度合いをみると、「深刻な影響を及ぼしている」14.1%、「一定の影響を及ぼしている」52.1%、「現在のところ影響はないが、今後生じる恐れがある」26.0%などとなった。その具体的な内容としては(複数回答)、「需要の増加に対応できない(受注を見送り・先送りせざるをえない)」45.4%、「技術・ノウハウの着実な伝承が困難になっている(後継者の確保・育成が覚束ない)」41.5%、「事業運営上に支障を来している(遅れやミスの発生、クレームの増加等)」37.0%、「募集賃金の上昇や既存人材の処遇改善、時間外労働の増大等で人件費が増加している」36.6%などとなっている。
人材(人手)不足を生じているとする企業における人材(人手)不足を緩和するための対策への取組状況をみると、「取り組んでいる」61.9%、「未だ取り組んでいないが今後取り組む考え」10.6%となっている。その具体的な内容としては(複数回答)、「中途採用を強化する(採用チャネルの多様化、応募要件の緩和等含む)」(59.2%)、「採用対象の拡大を図る」(56.4%)、「新卒採用を強化する(通年採用化、新卒定義の拡大、インターンシップの受入れ強化等含む)」(48.7%)、「業務の効率化を進める(無駄な業務の削減、仕事の分担・進め方の見直し等)」(43.5%)などが多くなった。
そして、こうした対策に取り組んでいる企業における効果をみると、「大いに効果があった(人材不足がかなり緩和された)」0.9%、「一定の効果があった(人材不足がやや緩和された)」39.3%、「(未だ)実感できるような効果はない(よく分からない含む)」59.3%となっている。