事業譲渡に係る留意事項示した新指針策定を提案

会社分割や事業譲渡など組織の変動に関して、労働者保護に実効ある政策を実施していくために必要な対応方策を検討していた厚生労働省の「組織の変動に伴う労働関係に関する対応方策検討会」(座長・鎌田耕一東洋大学法学部教授)が、報告書をまとめた。

同省では、会社分割、事業譲渡といった組織の変動に伴う労働関係については、平成12年の商法改正による会社分割制度の創設に併せて、「会社分割に伴う労働関係の承継等に関する法律」(承継法)を制定(平成13年4月1日施行)するなどして一定の対応をしてきた。報告書は、承継法施行後の会社法等の法整備の状況や組織の変動に係る裁判例の蓄積などの近年の状況を踏まえると、承継法施行規則等の改正並びに事業譲渡及び合併に関する新たな指針を策定することが適当とした。

具体的には、会社分割については、会社分割をするときの労働者への通知事項に、会社分割による労働条件の承継に関することを含めるのが適当としている。

また、事業譲渡及び合併については、会社が事業譲渡を行う際の労働者との手続や労働組合等の間の集団手続などに関する留意事項を示した新たな指針の策定を求めている。なお、報告書が示した新たな指針の案には、事業譲渡に当たり留意すべき事項として、①労働契約の承継に関する基本原則、②承継予定労働者から承諾を得る際の留意事項、③解雇に関する留意事項、④労働組合等との協議等に関する留意事項、⑤団体交渉に関する留意事項──などが盛り込まれている。

同省では、承継法施行規則の改正及び新たな指針の策定等をこの夏から秋にかけて実施する予定。