事業主を異にする場合の時間管理のあり方を検討
厚生労働省は7月17日、第1回「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」(座長・守島基博学習院大学経済学部経営学科教授)を開催した。
「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)では、「労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図る」ことが明記された。
また、「未来投資戦略2018」(平成30年6月15日閣議決定)では、「副業・兼業の促進に向けて、働き方の変化等を踏まえた実効性のある労働時間管理や労災補償の在り方等について、労働者の健康確保や企業の予見可能性にも配慮しつつ、労働政策審議会等において検討を進め、速やかに結論を得る」とされている。
複数の事業場で働く労働者の労働時間について現行制度は、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と規定している(労働基準法第38条)。また、行政解釈では、「「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合も含む」(昭23・5・14 基発第769号)とした。
同規定により、2つの異なる事業主に雇用される労働者が、労働時間通算の結果、時間外労働に該当する労働を行う場合は、時間外労働についての手続(労働基準法第36条所定の労使協定の締結・届出)及び割増賃金の支払いが必要となる。そこで、法が定める手続をとり、時間外労働の割増賃金を負担するのはどちらの事業主であるかが問題となる。この点について厚生労働省は、「通常は、当該労働者と時間的に後で労働契約を締結した事業主と解すべき」(「労働基準法」(上)厚生労働省労働基準局編)としている。
検討会は今後、1ヵ月に1回程度開催し、労働時間制度の基本的な考え方や労働基準法制定時から現在に至るまでの働き方の変化等をみつつ、事業主を異にする場合の実効性のある労働時間管理について議論を進める予定。