事前に労働条件の「具体的説明なかった」が2割
厚生労働省は、「大学生等へのアルバイトに関する意識等調査結果」をまとめた。この調査は、学生がアルバイトをする際、事業主の労働基準法違反などにより不利益を 被ったり、学業に支障を来たしたりといっ たことがあることから、学生アルバイトの現状や課題等を把握し、行政として適切な 対策を講じるための参考とするために行っ たもので、こうした調査はこれが初めて。 調査は、週1日以上のアルバイトを3ヵ月以上継続して行った経験のある大学生、大学院生、短大生、専門学校生を対象として、 今年8月下旬から9月上旬にかけて実施している(回答人数1000人)。
調査結果をみると、賃金、労働時間などの労働条件の明示については、「働く前に会社から労働条件が記載された書面を渡され、 知らされた」41.3%、「働く前に会社から労働条件が記載された書面を見せられ、知らされた」17.6%、「働く前に口頭で知らされ た」22.0%、「働く前に具体的な説明はなかった」19.1%となっている。
アルバイトを始める前に具体的に明示された労働条件としては、「勤務場所・業務内容」(79.5%)、「賃金額(アルバイト代の単価)」(77.0%)、「賃金の支払方法(振込か現金払いなど)」(70.9%)は7割以上となっているが、「年次有給休暇の日数(有無を含 む)」(17.1%)、「所定時間を超える労働(残 業)の有無」(34.7%)は低く、また、「契約期間」(49.7%)や「休憩時間」(47.6%) は5割程度となった。
労働条件に関するトラブルについてみると、「労働条件上の不当な扱いはなかった」 は51.8%となっており、48.2%が何らかのトラブルがあったとしている。トラブルの内容としては、「採用時に合意した以上のシフトを入れられた」14.8%、「一方的に急なシフト変更を命じられた」14.6%、「準備や片付けの時間に賃金が支払われなかった」13.6 %、「採用時に合意した仕事以外の仕事をさせられた」13.4%、「一方的にシフトを削られた」11.8%、「1日に労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかった」8.8%、「給与明細書がもらえなかった」8.3%、「実際に働いた時間の管理がされていない(例えばタイムカードに打刻した後に働かされたなど)」7.6%、「時間外労働や休日労働、深夜労働について、割増賃金が支払われなかっ た」5.4%、「賃金が支払われなかった(残業分)」5.3%──などとなっている。