予算執行率低調な助成金など9事業が対象

 厚生労働省は、平成30年度行政事業レビュー公開プロセスの対象事業として9事業を選定した。対象事業のうち労働行政関係の事業は、①長期療養者就職支援対策費、②トライアル雇用助成金事業(一般トライアルコース)、③幅広い職種を対象とした職務分析に基づいた包括的な職業能力評価制度の整備、④両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)──の4事業。このうち、トライアル雇用助成金事業と両立支援等助成金については、予算執行率が低調なことから、予算規模や施策の効果が検証されるものとみられる。

 行政事業レビューは、府省版の「事業仕分け」に当たるもの。各府省における全ての事業を対象に、執行実態を明らかにしたうえで、チェックの過程を公開しつつ、外部の視点を活用しながら点検を行い、結果を予算(概算要求や執行)に反映させる仕組み。また、行政事業レビュー対象事業の一部については、公開の場で外部有識者を交えて検証することになっている(公開プロセスの実施)。

同省の30年度の公開プロセスは、6月7日、同14日の2日間実施する予定。

労働行政関係で対象事業となったトライアル雇用助成金事業は、学卒未就職者やフリーターなどで安定した職業に就くことが困難な求職者を、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、一定期間(原則3ヵ月)試行的に雇用する事業主に対して、対象者1人につき月額最大4万円を支給するもの。近年の予算の状況は、27年度が予算額89億6400万円、執行率36%、28年度が予算額40億6600万円、執行率70%となっている。

同事業については、雇用失業情勢の改善や人手不足の深刻化による正社員求人の増加に伴い、トライアル雇用を経ることなく就職できるケースの増加が一層見込まれることから、予算規模などを論点に事業内容がチェックされることが見込まれる。

また、両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)は、同省が策定した「介護離職を予防するための両立支援対応モデル」に基づき職場環境整備に取り組み、円滑な介護休業取得・職場復帰をした労働者等が生じた事業主に対して、介護休業の場合38万円(中小企業57万円)を支給するもの。前2年の予算の状況は、28年度が予算額10億1100万円、執行率0%、29年度が予算額12億3400万円、執行率2%(速報値)となっている。

同事業については、介護離職を防止するための施策として効果的な内容かどうかなどを論点に、事業内容がチェックされることが見込まれる。

長期療養者就職支援対策費は、ハローワークに就職支援ナビゲーター等を配置し、がん診療連携拠点病院等と連携して、長期療養者の希望する労働条件に応じた求人の開拓・求人条件の緩和指導、長期療養者の就職後の職場定着の支援などを行うもの。

同事業については、社会的な要請に対して、十分に効果を上げられる内容かどうかを再検討することになっている。