一般54業種中20業種で料率引下げに

 厚生労働省は、労災保険率を全業種平均で1000分の0.2引き下げることを決め、平成30年度から実施する。労災保険料を算定するための労災保険率は、3年ごとに改定されている。一般保険料の保険料率は、過去3年間の災害発生状況等を考慮し、事業の種類ごとに定められている。今回の改定では、全54業種中、20業種が引下げ、3業種が引上げ、31業種が据え置きとなる。改定後の平均労災保険率は1000分の4.5(現行1000分の4.7)となる。また、請負による建設の事業に係る労務費率なども併せて改定される。

 労災保険率が引下げとなるのは、「建築事業」、「機械器具製造業」、「交通運輸事業」、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」など20業種。引下げ幅が大きいのは、「水力発電、ずい道等新設事業」(1000分の17引下げ)、「石灰石鉱業又はドロマイト鉱業」(1000分の4引下げ)、「採石業」(1000分の3引下げ)、「既設建築物設備工事業」(1000分の3引下げ)の4業種で、他の業種の引下げ幅は1000分の0.5から1000分の2の範囲内となっている。

一方、引上げとなるのは、「ガラス又はセメント製造業」、「非鉄金属製錬業」、「清掃、火葬又はと畜の事業」の3業種で、引上げ幅はいずれも1000分の1となった。

また、「食料品製造業」、「印刷又は製本業」、「通信業、放送業、新聞又は出版業」、「貨物取扱事業」、「ビルメンテナンス業」、「金融業、保険業又は不動産業」、「その他の各種事業」など31業種は据え置きとなっている。

このほか、一人親方などの特別加入に係る第2種特別加入保険料率について、18事業・作業中、9区分で料率が引き下げられる。引下げとなるのは、「個人タクシー、個人貨物運送業者」、「建設業の一人親方」、「漁業による自営業者」、「船員法第1条に規定する船員が行う事業」、「金属等の加工、洋食器加工作業」、「履物等の加工の作業」、「動力機械による作業」、「労働組合等の常勤役員」、「介護作業従事者」で、引下げ幅はいずれも1000分の1となっている。なお、このほかの事業・作業区分は据え置きとなっている。

労災保険率の改定とともに、請負による建設の事業に係る労務費率(請負金額に対する賃金総額の割合)の改定も行われる。「道路新設事業」は19%(現行20%)、「舗装工事業」17%(同18%)、「鉄道又は軌道新設事業」は24%(同25%)、機械装置の組立て又は据付の事業のうち、「組立て又は取付け」は38%(同40%)、同「その他のもの」は21%(同22%)に引き下げられる。なお、このほかの事業は据え置きとなっている。

これら労災保険率の改定等は、いずれも平成30年4月1日施行予定。