一般の事業は1000分の9建設業は1000分の12に

平成31年度の雇用保険率は、30年度の料率を据え置くことになった。厚生労働省は12月21日、労働政策審議会(会長・樋口美雄(独)労働政策研究・研修機構理事長)に対し、平成31年度の雇用保険率については、いわゆる弾力条項を発動し、一般の事業については1000分の9とすることを内容とした告示案要綱を諮問した。諮問を受けた同審議会は、これを関係分科会等で検討した結果、厚生労働省案を妥当と認める答申を取りまとめ、同日、根本厚労相に提出した。

雇用保険料を算出するための雇用保険率は、労働保険徴収法で定められている(法第12条)。現在の法定の保険料率は、一般の事業は1000分の15.5(うち1000分の12は失業等給付に係る率、1000分の3.5は雇用保険二事業に係る率)。なお、平成29年の同法改正によって、平成29年度から31年度までの各年度における失業等給付に係る保険料率を1000分の2引き下げる暫定措置が講じられている(同法附則)。

また、保険料率については、雇用保険の財政状況に照らして一定の要件を満たす場合には、法律を改正することなく、厚生労働大臣が労働政策審議会の意見を聴いたうえで変更できる仕組み(いわゆる弾力条項)がとられている。なお、弾力条項による保険料率変更の幅は、失業等給付に係る率はプラスマイナス1000分の4の範囲、雇用保険二事業に係る率はマイナス1000分の0.5の範囲となっている。

30年度の保険料率は、弾力条項の発動によって、一般の事業は1000分の9(うち1000分の6は失業等給付に係る率、1000分の3は雇用保険二事業に係る率)となった。同じく、農林水産業及び清酒製造業は1000分の11(うち1000分の8は失業等給付に係る率、1000分の3は雇用保険二事業に係る率)、建設業は1000分の12(うち1000分の8は失業等給付に係る率、1000分の4は雇用保険二事業に係る率)となった。

そして、31年度の保険料率については、29年度決算額による計算の結果、失業等給付に係る率、雇用保険二事業に係る率ともに弾力条項による引下げの要件を満たしていることから、それぞれ1000分の4、1000分の0.5引下げ、30年度の料率を据え置くことになった。