バス運転者の労働基準法等の違反率84.7%

厚生労働省は、ツアーバスを運行する貸切バス事業場に対する緊急の集中監督指導の実施状況をまとめた。この集中監督指導は、今年1月15日に発生した長野県でのバス事故(バス運転者2名を含む15名が死亡、26名が重軽傷)を受けて、同省と地方運輸機関が合同で今年2月と3月を中心に実施したもの。

それによると、監督を実施した196事業場(このうち、労働基準監督署と地方運輸機関との合同監督・監査102件)のうち166事業場にバス運転者に関する労働基準法等の法令違反が認められた(違反率84.7%)。主な違反事項をみると、労働時間95事業場(違反率48.5%)、健康診断39事業場(同19.9%)、休日15事業場(同7.7%)となっている。

また、自動車運転者の拘束時間や運転時間などについての基準を定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年厚生労働省告示第7号。通称・改善基準告示)の違反が認められたのは119事業場(違反率60.7%)となっている。違反事項は、総拘束時間43事業場(違反率21.9%)、最大拘束時間82事業場(同41.8%)、休息期間41事業場(同20.9%)、最大運転時間9事業場(同4.6%)、連続運転時間54事業場(同27.6%)、休日労働5事業場(同2.6%)となっている。

なお、同省は、これらの違反が認められた事業場に対しては、是正勧告書を交付して是正に向けた指導を行っている。

また、同省は、今回の集中監督指導の結果を踏まえ、公益社団法人日本バス協会に対して、①バス運転者の労働時間などについては、労働基準法及び改善基準告示に定められた規定の遵守を徹底すること、②長時間にわたる時間外・休日労働を行ったバス運転者に対しては、面接指導を行うとともに、労働時間の短縮などの適切な措置を講じること、③バス運転者の健康管理を適切に行うため、労働安全衛生法に基づく健康診断を確実に実施し、また、所見が認められたバス運転者に対しては、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」に基づき、適切な就業上の措置を講じること、④「交通労働災害防止のためのガイドライン」に基づき、睡眠時間の確保に配慮した適正な労働時間などの管理、乗務開始前の点呼等の実施、適正な走行計画の作成など、適切な措置を講じること──を要請した。