ストレスチェックは常用労働者に年1回定期実施
厚生労働省は2月16日、「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱」を労働政策審議会(会長・樋口美雄慶応義塾大学商学部教授)に諮問した。
諮問されたのは、改正法のうち、①ストレスチェック制度の創設(平成27年12月1日施行)、②特別安全衛生改善計画制度の創設(27年6月1日施行)、③外国に立地する検査機関の登録(27年6月1日施行)に関する省令案。
ストレスチェック制度の創設は、常時使用する労働者に対して、医師、保健師等による心理的な負荷の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施を使用者に義務付けるもの(労働者50人未満の事業場は当分の間努力義務)。また、検査の結果、一定の要件に該当する労働者から申出があった場合、医師による面接指導を実施することを事業者の義務としている。
省令案では、産業医の職務に、ストレスチェックの実施、ストレスチェックの結果に基づく面接指導の実施及び面接指導の結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関することを追加するとしている。
ストレスチェックの実施に関しては、事業者は、常時使用する労働者について、1年以内ごとに1回、定期に、①職場におけるストレス原因に関する項目、②ストレスによる心身による自覚症状に関する項目、③職場における他の労働者による支援に関する項目──について、医師等による検査を行わなければならないとしている。また、事業者は、労働者の同意を得て、検査の結果を把握した場合には、結果の記録を作成して5年間保存しなければならないとしている。
検査結果に基づく面接指導の対象となる労働者の要件については、検査の結果、心理的な負担の程度が高い者であって、検査を行った実施者が面接指導の実施が必要と認めたものとするしている。
次に、特別安全衛生改善計画制度の創設は、重大な労働災害を繰り返す企業に対して、厚生労働大臣が「特別安全衛生改善計画」の作成を指示することができることとするもので、計画作成指示に従わない場合、計画を守っていない場合などに、大臣が勧告し、勧告に従わない場合はその旨を公表することができる仕組みとなっている。
省令案では、同計画の対象となる「重大な労働災害」は、①死亡災害、②障害等級第1級から第7級までの障害に該当するものが生じたものまたは生じるおそれのあるもの──のいずれかに該当するものとしている。そして、重大な労働災害の再発を防止するため厚生労働大臣が特別安全衛生改善計画の作成の指示をすることができる要件については、同一企業において、労働安全衛生法等の法令違反により、同様の重大な労働災害を3年以内に複数の事業場で発生させた場合としている。
同省では、同審議会の答申の後、速やかに省令を公布することとしている。