違反率は5年連続で上昇し14.1%に

厚生労働省は、最低賃金の履行確保を主眼とした監督指導結果(平成29年)をまとめた。それによると、違反率は現在の集計方式となった平成19年以降で最も高かった前年(13.3%)を0.8ポイント上回る14.1%となった。違反率が前年を上回るのは5年連続。また、監督指導を実施した事業場の全労働者数に占める最低賃金未満の労働者数の比率は3.5%(前年3.4%)となっている。法違反事業場の認識状況をみると、「金額は知らないが、最賃が適用されることを知っている」とする事業場が52.3%(前年51.7%)で最も多い。

 同省では、最低賃金の履行確保を主眼とした臨検監督を毎年定期的に実施している。平成29年は、28年度の地域別最低賃金額の改定(全国加重平均で時間額823円、前年度比25円の引上げ)後の29年1月から3月にかけて実施している。対象事業場は、過去の監督指導結果などから最低賃金の履行状況について問題があると考えられる業種・規模の1万5413事業場。

その結果によると、最低賃金額以上の賃金を支払っていない事業場数は2166事業場、違反率は14.1%となった。違反率は前年(13.3%)を0.8ポイント上回り、5年連続して上昇した。これは、現在の集計方式となった平成19年以降で最も高かった前年をさらに上回る過去最高。

業種別の違反率(100事業場以上の監督指導を実施した業種に限る。以下同じ)をみると、製造業が15.5%と最も高く、次いで、保健衛生業15.3%、接客娯楽業15.2%、その他の事業13.8%、清掃・と畜業12.5%、商業12.2%──などの順となった。

また、細かな業種区分でみた違反率では、電気機械器具製造業(22.6%)、輸送用機械器具製造業(19.4%)、化学工業(16.8%)、食料品製造業(15.9%)、社会福祉施設(15.8%)、飲食店(15.4%)、金属製品製造業(15.2%)、旅館業(14.7%)──などが高くなっている。

次に、最低賃金未満の労働者の状況をみると、監督指導を実施した事業場の全労働者数19万6039人のうち、6853人が最低賃金未満の労働者で、その比率は3.5%(前年3.4%)となった。

また、法違反事業場の認識状況は、「金額は知らないが、最賃が適用されることを知っている」52.3%(前年51.7%)、「適用される最賃額を知っている」41.8%(同39.4%)、「最賃が適用されることを知らなかった」5.9%(同8.9%)となっている。

なお、地域別最低賃金が適用される事業場と特定最低賃金が適用される事業場別でみた違反率は、地域別最低賃金適用事業場(監督実施事業場数1万5001事業場)が13.9%(前年13.1%)、特定最低賃金適用事業場(同412事業場)が18.2%(同17.3%)となった。