違反率は4年連続で上昇し13.3%に

  •  厚生労働省は、最低賃金の履行確保を主眼とした監督指導結果(平成28年)をまとめた。それによると、違反率は現在の集計方式となった平成19年以降で最も高かった前年(11.6%)を1.7ポイント上回る13.3%となった。違反率が前年を上回るのは4年連続。また、監督指導を実施した事業場の全労働者数に占める最低賃金未満の労働者数の比率は3.4%(前年3.3%)となっている。法違反事業場の認識状況をみると、「金額は知らないが、最賃が適用されることを知っている」とする事業場が51.7%(前年52.2%)で最も多い。
  •  同省では、最低賃金の履行確保を主眼とした臨検監督を毎年定期的に実施している。平成28年は、27年度の地域別最低賃金額の改定(全国加重平均で時間額798円、前年度比18円の引上げ)後の28年1月から3月にかけて実施している。対象事業場は、過去の監督指導結果などから最低賃金の履行状況について問題があると考えられる業種・規模の1万2925事業場。

    その結果によると、最低賃金額以上の賃金を支払っていない事業場数は1715事業場、違反率は13.3%となっている。違反率は前年(11.6%)を1.7ポイント上回り、4年連続して上昇した。これは、現在の集計方式となった平成19年以降で最も高かった前年をさらに上回る過去最高となった。

    業種別の違反率(100事業場以上の監督指導を実施した業種に限る。以下同じ)をみると、接客娯楽業が14.6%と最も高く、次いで、製造業14.4%、保健衛生業13.8%、その他の事業11.9%、商業11.4%、清掃・と畜業11.0%──などの順となっている。

    また、細かな業種区分でみた違反率では、電気機械器具製造業(20.0%)、パルプ・紙・紙加工品製造業(18.7%)、輸送用機械器具製造業(15.8%)、印刷・製本業(14.9%)、衣服その他の繊維製品製造業(14.8%)、木材・木製品製造業(14.6%)、飲食店(14.5%)、化学工業(14.4%)、社会福祉施設(14.2%)、食料品製造業(14.1%)──などが高くなった。

    次に、最低賃金未満の労働者の状況をみると、監督指導を実施した事業場の全労働者数16万6570人のうち、5590人が最低賃金未満の労働者で、その比率は3.4%(前年3.3%)となっている。

    また、法違反事業場の認識状況は、「金額は知らないが、最賃が適用されることを知っている」51.7%(前年52.2%)、「適用される最賃額を知っている」39.4%(同40.1%)、「最賃が適用されることを知らなかった」8.9%(同7.6%)となっている。

    なお、地域別最低賃金が適用される事業場と特定最低賃金が適用される事業場の別でみた違反率は、地域別最低賃金適用事業場(監督実施事業場数1万2538事業場)が13.1%(前年11.5%)、特定最低賃金適用事業場(同387事業場)が17.3%(同16.2%)となった。