複数月平均80時間超の時間外労働で過労死 遺族側と和解 労災認定も

「食料品関係の協同組合のある支店の店員だった男性が、平成29(2017)年に過労死したことをめぐり、当該協同組合側が、長時間労働させた責任を認め遺族と和解した(解決金額は非公表)」といった報道がありました。
    遺族側の代理人弁護士が、平成30年12月11日に明らかにしたもので、その過労死については、同年5月に、労災認定も受けているとのことです。
   亡くなった男性は、勤務の記録上、残業はなく定時に出退勤したと扱われていたそうです。 しかし、所轄の労働基準監督署は、男性がパソコンを使用した記録などから、亡くなる直前2か月間の平均時間外労働が83時間に上っていたとして過労死と認めたそうです。
なお、平成31(2019)年4月(中小企業は1年遅れ)から、時間外労働の上限規制が導入されますが、「単月で100時間以上または複数月の平均で80時間を超える時間外労働(休日労働を含む)」が行われた場合は、労働基準法36条違反となり、罰則が適用されます。
    また、平成31(2019)年4月(中小企業も同様)からは、「単月で80時間を超える時間外労働(休日労働を含む)」が行われた場合は、企業は、その旨を労働者に通知し、医師による面接指導を実施する必要があります。
   そして、そのような規制の実効性を確保するため、企業には労働時間の状況の把握の義務が課されます。
   このような新たな法規制の施行を控えていますが、それ以前に、ここで紹介した事案のように、複数月平均80時間を超えるような時間外労働は、過労死認定の対象となります。