自己啓発を行った者の割合が3年連続で減少
厚生労働省はこのほど、平成27年度「能力開発基本調査」の結果をまとめた。それによると、自己啓発を行った者の割合は、正社員、正社員以外ともに3年連続で減少している。
この調査は、平成26年度1年間の教育訓練の実施状況、従業員の受講状況などについて実施している。調査対象は、常用労働者30人以上規模の企業、事業所及び当該事業所に所属している従業員で、企業調査は7200企業(有効回答率54.0%)、事業所調査は7041事業所(同70.2%)、個人調査は2万3878人(同42.7%)に行っている。
調査結果をみると、教育訓練の実施状況は、OFF-JTを実施した事業所割合は、正社員では72.0%(前回平成26年度調査72.4%)、正社員以外では36.6%(同34.0%)となった。
また、計画的なOJTの実施率は、正社員では58.9%(前回62.2%)、正社員以外では30.2%(同31.1%)となっている。
OFF-JTに支出した費用について、「過去3年間」の実績と「今後3年間」の見込みを比較すると、正社員では、「増加」とする企業割合は、「過去3年間」が24.8%、「今後3年間」が35.4%、一方、正社員以外では、「増加」とする企業割合は、「過去3年間」が9.6%、「今後3年間」が20.5%となっており、能力開発に支出する費用は、正社員、正社員以外ともに今後上昇する見込みとなった。
同様に自己啓発支援に支出した費用の実績と見込みをみると、正社員では、「増加」とする企業割合は、「過去3年間」が10.6%、「今後3年間」が27.3%、正社員以外では、「増加」とする企業割合は、「過去3年間」が4.3%、「今後3年間」が16.0%となっている。
企業が重視する教育訓練対象者の範囲をみると、正社員に対しては、「労働者全体を重視する」またはそれに近いとする企業割合が58.6%(前回59.6%)、「選抜した労働者を重視する」またはそれに近いとする企業割合が40.8%(同39.4%)となった。
自己啓発の実施状況をみると、平成26年度に自己啓発を行った者の割合は、正社員では42.7%(前回43.3%)、正社員以外では16.1%(同16.4%)となっており、ともに3年連続で減少した。
自己啓発を行う上で何らかの問題があるとした労働者割合は、正社員では78.8%(前回78.4%)、正社員以外では71.5%(同70.0%)となった。自己啓発に問題があるとした労働者の問題点(複数回答)としては、正社員、正社員以外ともに、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(正社員57.6%、正社員以外37.4%)を挙げる割合が最も高くなっており、次いで、正社員では、「費用がかかりすぎる」(31.2%)、正社員以外では、「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」(33.6%)となっている。