脳卒中、肝疾患に関する留意事項を追加作成

厚生労働省はこのほど、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(平成28年2月策定)の参考資料として、「脳卒中に関する留意事項」と「肝疾患に関する留意事項」を追加作成した。

このガイドラインは、がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎などの治療が必要な疾病を抱える労働者に対して、事業場において適切な就業上の措置や治療に対する配慮が行われるよう、事業場における取組みをまとめたもの。

ガイドラインは、(1)治療と職業生活の両立支援の位置づけと意義、(2)治療と職業生活の両立支援を行うに当たっての留意事項、(3)両立支援を行うための環境整備、(4)両立支援の進め方、(5)特殊な場合の対応──などについて示している。

今回の参考資料は、昨年のガイドライン策定時に併せて作成された「がんに関する留意事項」と同様に、脳卒中と肝疾患関する基礎情報と各疾病について特に留意すべき事項をガイドラインに追加したもの。

「脳卒中に関する留意事項」では、①再発等予防・治療のための配慮、②障害特性に応じた配慮、③復帰後の職場適応とメンタルヘルス──について示した。

具体的には、病状が安定した後でも継続した服薬や通院が必要である場合には、労働者は主治医に通院頻度や服薬回数、服薬に伴い出やすい副作用及びその内容・程度について確認し、必要に応じてそれらの情報を事業者へ提供することが望ましいとしている。また、事業者は、労働者から服薬や通院等に関する申出があった場合には、必要に応じて配慮すること、労働者から体調の悪い旨の申出があった場合には柔軟に対応するなど配慮するすることが望ましいとした。

メンタルヘルスに関しては、脳卒中を発症し、手足の麻痺や言語の障害、痛みやしびれといった後遺症を有する労働者の中には、職場復帰後、発症前の自身とのギャップに悩み、メンタルヘルス不調に陥る場合があり、職場復帰の直後だけではなく、数ヵ月後にメンタルヘルス不調が生じる場合もある点に注意が必要としている。

「肝疾患に関する留意事項」では、①肝疾患の特徴を踏まえた対応、②肝疾患に対する不正確な理解・知識に伴う問題への対応──について示した。

具体的には、肝疾患は、病気があまり進行しておらず、症状が出ていない段階であっても、通院による治療や経過観察が必要であることから、労働者から通院等への配慮の申出があれば、事業者は、海外出張や不規則な勤務を避ける等、必要な配慮を検討し、対応することが望ましいとしている。また、病状が進行すると、記憶力の低下や瞬時の判断が遅れるなどの症状が出ることもあり、そうした場合には、車の運転などの危険を伴う作業は控える等の措置が必要なこともあるため、個別の確認が必要としている。