能開法に根拠定め2020年300万人の取得を目指す
厚生労働省は、新しいジョブ・カードの基本的な考え方・目標、普及促進を図るための推進体制などを示した「新ジョブ・カード制度推進基本計画(案)」をまとめた。
ジョブ・カードは、キャリア・コンサルティングの実施、職業能力の評価、就職活動における応募書類等として活用するツールで、これまで約126万人(平成27年2月末時点)が取得している。しかし、取得者の約9割が職業訓練の受講者であり、就職活動での活用は低調である。
これらを踏まえて同省は、ジョブ・カードを抜本的に見直し、新ジョブ・カードの普及に法的根拠(職業能力開発促進法の改正)を持たせるなどして制度を推進する予定としている。
「新ジョブ・カード制度推進基本計画(案)」では、新ジョブ・カードのコンセプトを「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」の2つの機能のツールとしている。そして、新ジョブ・カードの目標として、取得者数を2020年までに300万人(見直し前のジョブ・カード取得者と新ジョブ・カードによる新規の取得者(見直し前のジョブ・カード取得者を除く)の合計数)とするとした。また、新ジョブ・カードの取得者が自らの職業能力の向上などに貢献するとした者の割合を7割以上とするとしている。
次に、行政の推進体制として、国(文部科学省、厚生労働省、経済産業省)は、関係者に対する周知・理解の促進、新ジョブ・カードの電子化のためのソフトウェアの提供、情報提供等を行うサイトの設置・運営、ジョブ・カードセンターに関する業務委託などを行うとした。都道府県労働局は、能力開発関係の助成金における新ジョブ・カードの活用のインセンティブ措置、新ジョブ・カードを活用した雇用型訓練に係る助成金、高年齢者雇用安定法に基づく離職予定者へ事業主が交付する書面の新ジョブ・カードの活用及び同法の規定に該当しない離職予定者に対する同様の書面の交付などの新たな活用方法等を説明することとしている。
このほか、ハローワークは、求職者に対して、時間をかけて職業相談・紹介を行う際には、新ジョブ・カードを積極的に活用し、また、職業能力証明(訓練成果・実務成果)シートを有する求職者への応募書類としての活用や必要に応じた応募先企業への活用を促進するとした。
なお、同省では、今国会提出の職業能力開発促進法改正案の成立後、新ジョブ・カードの様式を省令で定めるなどし、今秋以降その本格的な普及促進に乗り出すこととしている。