産業医が衛生委員会で発議ができる仕組みを

労働政策審議会(会長・樋口美雄慶應義塾大学商学部教授)は去る6月6日、塩崎厚労相に対し、産業医の独立性、中立性を強化するための方策など、今後の産業医・産業保健機能の強化に向けた対策を建議した。

これは、今年3月に決定した「働き方改革実行計画」を踏まえ、同審議会の安全衛生分科会(分科会長・土橋律東京大学大学院工学系研究科教授)が4月以降、審議を重ねた結果に基づくもの。

建議は、長時間労働者等への就業上の措置に対して産業医がより適確に関与するための方策として、事業者が健康診断等で異常等の所見があった労働者に対して、産業医等からの意見を勘案して就業上の措置を行った場合はその内容を、行わなかった場合は行わなかった旨とその理由を産業医に提供しなければならないとするのが適当としている。

また、産業医が事業者に対して、労働者の健康管理等について必要な勧告を行う場合には、事前にその内容を示し、事業者から意見を求めることとするのが適当とした。

健康情報の事業場内での取扱ルールの明確化、適正化の推進に関しては、国に対し、事業場において労働者の健康状況に関する情報の適正な取扱いが図られるよう、必要な事項を定めた指針の公表を求めた。

次に、産業医がより一層効果的な活動を行いやすい環境の整備に関し、産業医の独立性、中立性を強化するための方策として、産業医は、産業医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならないことを法令に明示することが適当とした。加えて、衛生委員会において、産業医が労働者の健康管理の観点から必要な調査審議を求めることができることとするのが適当などとしている。

そして、国は、上記の措置に関し、中小企業においても円滑に進められるよう、産業保健総合支援センターやその地域窓口の機能の強化、周知による利用促進などの支援を行うことが適当であるとした。