法の違反率は前年を0.2ポイント上回る70.8%に

厚生労働省は、平成29年に実施した外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導の結果及び送検の状況などをまとめた。

同省では、技能実習生を含めた外国人労働者については、法定労働条件確保上の問題が認められる事案が多いことから、労働基準行政と職業安定行政が連携を図りつつ事業主等に対して労働基準関係法令を周知している。また、それとともに、労働契約締結時の労働条件の書面による明示、賃金支払いの適正化などの徹底を図っている。

さらに、技能実習生に係る重大または悪質な労働基準関係法令違反事案については、司法処分を含め厳正に対処するとともに、出入国管理機関との相互通報制度の確実な運用を図っている。

29年に全国の労働基準監督機関が監督指導を実施した実習実施者は5966事業場で、そのうち4226事業場に労働基準法や労働安全衛生法などの法違反が認められた(違反は実習実施者に認められたもので、日本人労働者に係る違反も含まれる)。違反率は前年(70.6%)を0.2ポイント上回る70.8%となり、4年ぶりに上昇した。

主な違反内容をみると、労働基準法関係では、「労働時間」が1566事業場(違反率26.2%)と最も多く、以下、「割増賃金の支払」945事業場(同15.8%)、「就業規則」551事業場(同9.2%)、「労働条件の明示」541事業場(同9.1%)、「賃金の支払」526事業場(同8.8%)、「賃金台帳」448事業場(同7.5%)、「寄宿舎の安全基準」148事業場(同2.5%)と続いている。

このほかに、労働安全衛生法関係の違反では、安全基準関係の違反が1176事業場(違反率19.7%)、健康診断関係の違反が477事業場(同8.0%)、衛生基準関係の違反が473事業場(同7.9%)、また、最低賃金法関係の違反が92事業場(同1.5%)に認められた。

次に、送検状況をみると、件数は34件で前年(40件)より6件減少している。違反法令別では、労働基準法・最低賃金法違反が24件(前年39件)、労働安全衛生法違反が10件(同1件)となった。