技能実習制度の仕組み整備する新法案を上程
外国人技能実習制度について、管理監督体制の強化を図るとともに、技能実習生の受入期間を最長5年間(現行3年間)に延長するなど新たな仕組みを導入することを内容とした法案が国会に提出された。法案は、技能実習の実施者(受入企業)を届出制とし、受入企業を監理する団体は許可制とするとしている。そして、これら受入企業・監理団体に係る届出や許可に関する事務及び技能実習生に対する相談・援助を行う新法人を設立するとしている。新たな仕組みは、平成27年度中の施行が予定されている。
国会に提出された技能実習制度の仕組みを抜本的に改める新法案(「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」)は、技能実習制度の適正化を図るための新たな仕組みの導入と技能実習制度の拡充が柱となっている。
技能実習制度は、国際貢献のため、開発途上国の外国人を日本で一定期間に限り受入れ、企業で雇用関係の下、OJTを通じて技能を修得・習熟する制度。対象となる職種・作業は69職種・127作業(平成27年1月23日時点)、また、技能実習生の数は15万5214人(平成26年3月末時点。法務省まとめ)となっている。
法案の内容をみると、同法は、技能実習の基本理念及び国など関係者の責務を定め、技能実習計画の認定・監理団体の許可制を設けること等により、出入国管理及び難民認定法(入管法)及び労働基準法、労働安全衛生法等の労働関係法令と相まって、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図ることを法の目的に据えている。
具体的な仕組みとしては、技能実習は、技能実習生ごとに作成する技能実習計画の認定に基づき行うものとしている。
また、技能実習の実施者(受入企業)については届出が必要とし、技能実習生を受け入れて企業との雇用関係成立のあっせん等を行う非営利の法人(監理団体)については許可制とするとしている。
一方、技能実習生の保護に関しては、受入企業・監理団体等に対して、技能実習に係る契約の不履行について違約金を定めることや技能実習生の旅券または在留カードを保管することなどを禁止する規定を設ける。加えて、これらの技能実習生に対する人権侵害行為を行った場合は、最高で懲役10年以下、罰金300万円以下に処する罰則を規定している。
そして、こうした新たな仕組みを監視する機関となる認可法人「外国人技能実習機構」を新設する。
同機構では、技能実習計画の認定、受入企業の届出の受理などに関する事務、監理団体の許可申請に係る事実関係の調査及び技能実習計画の認定・監理団体の許可を行うにあたって必要な報告の徴収及び立入検査、技能実習生からの相談対応・必要な情報の提供、その他の援助等を行う。
このほか、入管法を改正し、技能実習の在留資格について、在留期間を最長5年間(現行3年間)まで認める新たな在留資格区分を設ける。なお、4~5年目の技能実習の実施は、技能実習の実施等に関し、別途省令で定める高い水準を満たす受入企業・監理団体に限定するこことしている。
なお、新法の施行期日は、平成28年3月31日までの間において政令で定める日(ただし、法の目的、関係者の責務などを規定する総則部分、外国人技能実習機構の設立規定、同機構に係る雑則・罰則等については公布日)となっている。