実習生を受け入れる企業は届出が必要に
外国人技能実習制度について、管理監督体制の強化を図るとともに、技能実習生の受入期間を最長5年間(現行3年間)に延長するなど新たな仕組みを導入することを内容とした「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が昨年11月18日成立し、同28日公布された。
法案は、平成27年3月6日閣議決定され、同日、第189回通常国会に提出された。その後、同国会で審議入りしたが継続審議となり、第190回通常国会では、衆議院で法務委員会厚生労働委員会連合審査会を開催するなどして審議は進んだものの、再度継続審議となった。そして、先の第192回臨時国会において、法案の一部を修正し、28年11月18日に成立した。
成立した新法は、技能実習の基本理念及び国など関係者の責務を定め、技能実習計画の認定・監理団体の許可制を設けること等により、出入国管理及び難民認定法(入管法)及び労働基準法、労働安全衛生法等の労働関係法令と相まって、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図ることを法の目的に据えている。
具体的な仕組みとしては、技能実習は、技能実習生ごとに作成する技能実習計画の認定に基づき行うとしている。また、技能実習の実施者(受入企業)については届出制とし、技能実習生を受け入れて企業との雇用関係成立のあっせん等を行う非営利の法人(監理団体)については許可制とする。
一方、技能実習生の保護に関しては、受入企業・監理団体等に対して、技能実習に係る契約の不履行について違約金を定めることや技能実習生の旅券または在留カードを保管することなどを禁止する規定を設けた。加えて、これらの技能実習生に対する人権侵害行為を行った場合は、最高で懲役10年以下、罰金300万円以下に処する罰則を規定している。
そして、こうした新たな仕組みを監視する機関となる認可法人「外国人技能実習機構」を新設する。
同機構では、技能実習計画の認定、受入企業の届出の受理などに関する事務、監理団体の許可申請に係る事実関係の調査、技能実習計画の認定・監理団体の許可を行うにあたって必要な報告の徴収及び立入検査、技能実習生からの相談対応、必要な情報の提供、その他の援助等を行う。
このほか、技能実習生の在留資格を規定する出入国管理及び難民認定法等を改正し、技能実習の在留資格について、在留期間を最長5年間(現行3年間)まで認める新たな在留資格区分を設ける。なお、4~5年目の技能実習の実施は、技能実習の実施等に関し、別途省令で定める高い水準を満たす受入企業・監理団体に限定するこことしている。
なお、新法の施行期日は、公布日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日(ただし、法の目的、関係者の責務などを規定する総則部分、外国人技能実習機構の設立規定、同機構に係る雑則・罰則等については公布日)となっている。