大法人には32年4月から電子申請を義務化

 厚生労働省は昨年12月7日、労働政策審議会(会長・樋口美雄(独)労働政策研究・研修機構理事長)に対し、特定の法人による労働保険料等の一部の申告書の提出は、電子申請で行うこととする労働保険徴収法施行規則等の改正案要綱を諮問し、同審議会はこれを了承した。これにより、労働保険に関する手続のうち、労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書・石綿健康被害救済法一般拠出金申告書に係るものに関しては、大法人の事業所は電子申請が義務化される。施行期日は平成32年4月1日の予定となっている。

 政府は現在、国全体として行政コスト(行政手続に要する事業者の作業時間)を削減する取組みを進め、電子申請の利用促進を図っている。そうした中、行政手続簡素化の3原則を踏まえ、行政コストを2020年までに20%削減することが目標として示されている(平成29年3月29日規制改革推進会議行政手続部会決定)。

そして、厚生労働省は、『行政手続コスト』削減のための基本計画(平成30年3月改定)において、労働保険に関する手続の行政コスト削減の対策として、①電子申請に係る説明会等の実施、②電子申請体験コーナーにおける利用勧奨、③初期設定代行サービスの実施、④電子申請に係る行政処理の見直し、⑤電子申請の義務化──を掲げている。

今回の改正は、これらを踏まえたもので、事業主の事務負担の軽減及び利便性の向上のため、労働保険徴収法及び石綿健康被害救済法に関する一部の主要な手続について、特定の法人が行う場合には、電子申請によることを義務付ける。

義務化する対象手続は、⑴概算保険料申告書、⑵増加概算保険料申告書、⑶確定保険料申告書、⑷石綿健康被害救済法一般拠出金申告書──となっている(いずれも継続事業が対象)。

また、対象となる特定の法人は、(i)資本金、出資金または銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人、(ii)保険業法第2条第5項に規定する相互会社、(iii)投資信託及び投資法人に関する法律第2条第12項に規定する投資法人、(iv)資産の流動化に関する法律第2条第3項に規定する特定目的会社──となっている。

なお、社会保険労務士または社会保険労務士法人が特定の法人に代わって手続を行う場合も対象となる。

同省は、関係省令の改正を行い、平成32年4月1日から施行する予定で、同日以降開始される事業年度について順次適用することになっている。