司法処分件数は3年連続減少し966件

厚生労働省は、平成27年の送検事件の状況をまとめた。それによると、昨年1年間に労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの労働関係法令違反で司法処分(送検)した事件は966件で、前年(1036件)と比べ70件(6.8%)の減少となり、3年連続の減少となった。違反法令別の送検件数は、労働基準法402件、労働安全衛生法550件、最低賃金法14件となっている。また、業種別にみた送検件数は、最も多いのは建設業の336件、次いで、製造業241件、商業85件、運輸交通業59件、接客・娯楽業58件──の順となっている。

  •  27年の送検件数を業種別にみると、例年と同様に建設業と製造業が突出しており、この2業種で全体の約6割を占めている。送検件数が最も多いのは建設業で336件、以下、製造業241件、商業85件、運輸交通業59件、接客娯楽業58件、清掃・と畜業33件、農・林業28件、教育・研究業19件──と続いている。

    業種別(前出の8業種)の送検件数を前年と比べると、増加しているのは製造業(26件増)、運輸交通業(3件増)、接客娯楽業(1件増)の3業種。一方、減少しているのは建設業(56件減)、商業(11件減)、清掃・と畜業(5件減)、農・林業(8件減)、教育・研究業(9件減)の5業種となっている。

    次に、違反法令別にみた送検件数は、労働基準法が402件で、前年(400件)と比べ2件(0.5%)増加している。

    違反内容別では、賃金の支払(第24条、最低賃金法第4条)が214件と最も多く、以下、労働時間(第32条)79件、割増賃金(第37条)34件、労働条件の明示(第15条)17件、中間搾取(第6条)12件、解雇の予告(第20条)8件、就業規則の作成及び届出の義務(第89条)4件、強制労働(第5条)、休業手当(第25条)、休日(第35条)、年少者の危険有害業務の就業制限(第62条)、労働基準監督官の権限(第101条)がともに3件──と続いている(1つの事件で複数の被疑条文がある場合には、主たる被疑条文により件数を計上。以下同じ)。

    また、労働安全衛生法違反による送検は550件で、前年(628件)と比べ78件(12.4%)減少している。

    違反内容別では、設備等(第20条)が180件と最も多く、以下、作業方法(第21条)140件、報告等(第100条)114件、就業制限(第61条)31件、作業主任者(第14条)24件、安全衛生教育(第59条)16件、注文者(第31条)12件、衛生関係(第22条)と特定元方事業者等(第30条)がともに9件、製造禁止(第55条)4件──と続いている。

    このほかに、最低賃金法違反による送検が14件(前年8件)あった。その違反内容は、すべて法第4条の最低賃金の効力に関するものとなっている。