受動喫煙防止対策の強化について新制度の案示す

厚生労働省は、先にまとめた「受動喫煙防止対策の強化について(たたき台)」について、関係団体からのヒアリングを去る10月31日と11月16日に行った。ヒアリングは公開で実施され、2日間で計30団体から意見を聴いた。今後は、ヒアリングで出された意見を踏まえたうえで、受動喫煙防止対策について法整備を視野に検討を深め、早ければ今年の通常国会に必要な法律案を提出する見込み。

 政府は、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックを契機として、幅広い公共の場等における受動喫煙防止対策を強化するため、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係府省庁連絡会議の下に、受動喫煙防止対策強化検討チームを設けて取組みを進めている。

 我が国の現在の受動喫煙防止対策に関する法規制は、健康増進法において、学校、体育館、病院、事務所、官公庁施設、飲食店など多数の者が利用する施設を管理する者に対し、これら施設の利用者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずることを努力義務としている。

 また、労働安全衛生法では、労働者の受動喫煙防止対策として、事業場の実情に応じ適切な措置を講ずることを事業者の努力義務としている。

 同省が示した「たたき台」(受動喫煙防止対策の具体策)では、新たに導入する制度について、①多数の者が利用し、かつ、他施設の利用を選択することが容易でないものは、「建物内禁煙」とする(官公庁や社会福祉施設等)、②上記①の施設のうち、特に未成年者や患者等が主に利用する施設は、より厳しい「敷地内禁煙」とする(学校や医療機関)、③利用者側にある程度他の施設を選択する機会があるものや、娯楽施設のように嗜好性が強いものは、「原則建物内禁煙」としたうえで、「喫煙室」の設置を可能とする(飲食店等のサービス業等)──に分類している。

 そして、その実効性を担保する観点から、施設の管理者に対し、喫煙禁止場所の範囲や喫煙室の位置等の掲示などを義務付け、義務違反者には、勧告、命令等を行い、それでもなお義務に違反する場合には罰則を適用するとしている。