収入要件ある「配偶者手当」は見直しの話合いを
労使において女性の活躍の更なる促進に向けた配偶者手当の在り方の検討を行うための背景、課題等を整理するとともに、見直しを行う場合の留意事項等について検討していた厚生労働省の「女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会」(座長・阿部正浩中央大学経済学部教授)が報告書をまとめた。
報告書は、まず、配偶者手当の見直しに関して、「日本では、今後、生産年齢人口が減少し、出生数の減少による若年労働力の減少や、高齢者の引退の増加によって、労働力人口は高齢化しながらが減少していくことが予想される。このため、若者、女性、高齢者、障害者など働く意欲のあるすべての人がその能力を十分に発揮できる社会を形成することがが必要となっており、働くことに対して中立的でない制度については中立的にする等誰もが働きやすい制度となる方向へ見直すことが求められる」と指摘した。
そして、「配偶者の収入要件がある「配偶者手当」については、配偶者の「就業調整」の要因となり、結果として女性の能力発揮の妨げとなるとともに、他の労働者の負担増などの影響を生じさせていると考えられることから、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれる」としている。
そのうえで、「労使においては、従業員ニーズや企業を取り巻く環境の変化など個々の企業の実情も踏まえつつ、配偶者の収入要件がある「配偶者手当」について、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう真摯な話合いを進めることが期待される」としている。
また、配偶者手当を含めた賃金制度の円滑な見直しに当たっては、労働契約法、判例等に加え、企業事例などを踏まえ、①ニーズの把握など従業員の納得性を高める取組み、②労使の丁寧な話合い・合意、③賃金原資総額の維持、④必要な経過措置、⑤決定後の新制度についての丁寧な説明──に留意することが必要となると考えられると指摘している。