労契法改正で人事制度見直し図った企業は76.8%
公益社団法人全国求人情報協会の「改正二法研究会」(座長・阿部正浩中央大学経済学部教授)は、2013年4月施行の改正労働契約法及び改正高年齢者雇用安定法への企業の対応に関するアンケート調査の結果をまとめた。調査は、全国500人の人事担当者を対象に2014年12月に実施している。また、同様の調査を2013年3月、同年8~9月に実施している。
調査結果をみると、労働契約法の改正を受けた人事制度の見直し状況は、「見直しを行い、新たな人事制度を設けた」4.0%、「見直しを行い、新たな人事制度を設ける予定」11.0%、「見直しを行い、既存の人事制度に変更を加えた」12.2%、「見直しを行ったが、既存の人事制度で問題ないので変更はない」14.4%、「見直し中」15.0%、「今後見直し予定」20.2%、「特に見直しはしない」23.2%となっている。見直しを図った企業割合は76.8%となっており、前回調査(78.0%)から増えていない。
対応策の内容をみると、「既存の正社員登用制度を活用する」が23.2%と最も多く、次いで、「有期契約労働者の契約更新判断(人物や働きぶり等の選別)を厳格化していく」22.6%、「有期契約労働者から正社員への登用制度を新設する」19.6%、「有期契約労働者の更新を抑制していく(回数上限や通算勤続上限等の設定含む)」14.6%、「有期契約労働者の1回あたりの契約期間を延ばし、更新は原則行わないようにする」9.6%の順となっている。
また、有期契約労働者を無期契約に転換あるいは正社員登用することによる影響については、影響がある(「とても影響がある」と「影響がある」の合計)とする事項の上位は、「長期勤続・定着が期待できる」(47.8%)、「有期契約労働者の働く意欲を増大できる」(47.0%)、「技能の蓄積やノウハウの伝承が着実に図られるようになり、生産性が向上する」(41.8%)、「要員を安定的に確保できるようになる」(41.4%)──などポジティブなものが占めている。一方、「正社員と有期契約労働者の間の仕事や労働条件の調整が困難になる」(29.2%)や「業務量の変動に伴う、労働条件の調整が困難になる」(25.0%)といったネガティブな影響を考える企業は3割未満にとどまっている。