労働紛争解決の手段は多くの場合「金銭解決」

(独)労働政策研究・研修機構(JILPT、菅野和夫理事長)は、「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」に関する調査結果をまとめた。

調査は、①都道府県労働局のあっせん事案(2012年度に4労働局で受理した個別労働関係紛争事案853件)、②労働審判の調停・審判事案(2013年に4地方裁判所で調停または審判で終局した労働審判事案452件)、③民事訴訟の和解事案(2013年に4地方裁判所で和解で終局した労働関係民事訴訟事案193件)──を対象に実施している。

それによると、解決内容の傾向は、あっせん・労働審判・和解ともに、多くのケースにおいて金銭解決が活用されており、その割合は、あっせん96.6%、労働審判96.0%、和解90.2%となっている。

金銭解決の金額をみると、あっせんは、「10~20万円未満」が28.4%と最も多く、以下、「20~30万円未満」15.0%、「5~10万円未満」13.4%、「1~5万円未満」12.1%、「30~40万円未満」10.2%と続いており、半数以上が20万円未満で解決している。なお、平均値は27万9681円となっている。

労働審判は、「100~200万円未満」が27.0%と最も多く、次いで、「50~100万円未満」23.7%、「200~300万円未満」10.4%となっており、50万円から200万円の間で半数が解決している。なお、平均値は229万7119円となっている。

また、和解は、「100~200万円未満」が20.7%と最も多く、次いで、「300~500万円未満」と「500~1000万円未満」がともに15.5%、「50~100万円未満」14.4%、「200~300万円未満」12.1%と続いており、あっせんや労働審判に比べ高額傾向にあり、解決金額のばらつきがみられる。なお、平均値は450万7660円となっている。

解決金額を月収表示でみてみると、あっせんは、「1ヵ月分未満」43.6%、「1~2ヵ月分未満」26.9%、「2~3ヵ月分未満」12.5%と低額で解決する傾向にある。一方、労働審判及び和解はあっせんに比べ高額で解決する傾向があるが、解決金額にばらつきがみられ、労働審判は、「6~9ヵ月分未満」17.7%、「3~4ヵ月分未満」14.5%、「2~3ヵ月分未満」13.1%、「5~6ヵ月分未満」10.6%、「4~5ヵ月分未満」10.4%、また、和解は、「12~24ヵ月分未満」16.8%、「6~9ヵ月分未満」15.6%、「9~12ヵ月分未満」15.0%、「1~2ヵ月分未満」10.4%──などとなっている。