「いじめ・嫌がらせ」が4年連続トップに

厚生労働省は、「平成27年度個別労働紛争解決制度施行状況」をまとめた。それによると、全国の総合労働相談コーナーに寄せられた相談のうち、民事上の個別労働紛争に係る件数は24万5125件となっており、前年度と比べ2.6%増加し、4年ぶりの増加となった。民事上の相談の内訳では、「いじめ・嫌がらせ」(全体の22.4%)に関するものが4年連続でトップとなっている。また、民事上の個別労働紛争の解決を図るための都道府県労働局長による助言・指導申出件数は8925件(対前年度比5.8%減)となっている。

  •  同省では、労働関係についての個々の労働者と事業主間の紛争を円満に解決するための制度として、「個別労働紛争解決制度」を設けている。そして、制度の効果的な運用を図るために、ワンストップサービスの相談コーナーを全国381ヵ所設置している。相談者が同コーナーに相談の申出を行い、それが民事的なトラブルに発展した場合には、解決の手段として、相談者の求めに応じて都道府県労働局長による助言・指導、また、紛争調整委員会によるあっせんを行う仕組みになっている。

    同省のまとめによると、27年度に寄せられた相談件数は103万4936件で前年度(103万3047件)と比べ0.2%増加し、6年ぶりの増加となった。そのうち、労働基準法等の法違反を伴わない解雇や労働条件引下げなどの民事上の相談件数は24万5125件で前年度(23万8806件)と比べ6319件(2.6%)増加し、4年ぶりに増加した。

    民事上の相談内容の内訳(内訳が複数にまたがる事案があるため、合計は前記件数と一致しない)をみると、「いじめ・嫌がらせ」に関するものが6万6566件(全体の22.4%)と最も多く、次いで、「解雇」3万7787件(同12.7%)、「自己都合退職」3万7648件(同12.7%)、「その他の労働条件」3万7177件(同12.5%)、「労働条件の引下げ」2万6392件(同8.9%)、「退職勧奨」2万2110件(同7.4%)と続いている。

    「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は、24年度に「解雇」に関する相談件数を上回り初めてトップとなり、4年連続でのトップとなった。

    また、相談内容の中で特に増加が目立つのが、「いじめ・嫌がらせ」と「自己都合退職」の2つで、いずれも10年以上連続して増え続けている。最近3年間の増加幅をみると、「いじめ・嫌がらせ」は、25年度が対前年度比14.6%増、26年度が同5.1%増、27年度が同7.0%増となっている。「自己都合退職」は、25年度が対前年度比11.0%増、26年度が同4.8%増、27年度が同8.7%増となっている。

    次に、都道府県労働局長による助言・指導についてみると、申出件数は8925件となっており、前年度(9471件)と比べ546件(5.8%)減少し、3年連続の減少となった。申出内容の内訳(複数にまたがる事案があるため、合計は前記件数と一致しない)は、「いじめ・嫌がらせ」が2049件(全体の21.0%)と最も多く、次いで、「その他の労働条件」1471件(同15.1%)、「解雇」1180件(同12.1%)、「自己都合退職」962件(同9.9%)、「労働条件の引下げ」804件(同8.3%)と続いている。

    なお、助言・指導の申出があったものの中で、27年度内に処理したものは8954件となっており、このうち処理期間の目標である1ヵ月以内に処理したものが8874件(99.1%)となっている。

    また、紛争調整委員会によるあっせんについてみると、申請受理件数は4775件となっており、前年度(5010件)と比べ235件(4.7%)減少した。申請内容の内訳(複数にまたがる事案があるため、合計は前記件数と一致しない)は、「いじめ・嫌がらせ」が1451件(全体の27.2%)と最も多く、次いで、「解雇」1318件(同24.7%)、「その他の労働条件」544件(同10.2%)、「雇止め」493件(同9.2%)、「退職勧奨」368件(同6.9%)と続いている。

    なお、あっせんの申請があったものの中で、27年度内に処理したものは4679件となっており、このうち処理期間の目標である2ヵ月以内に処理したものが4214件(90.1%)となっている。