自己啓発を行った者の割合が2年連続で減少
厚生労働省はこのほど、平成26年度「能力開発基本調査」の結果をまとめた。それによると、自己啓発を行った者の割合は、正社員、正社員以外ともに2年連続で減少している。
この調査は、平成25年度1年間の教育訓練の実施状況、従業員の受講状況などについて実施している。調査対象は、常用労働者30人以上規模の企業、事業所及び当該事業所に所属している従業員で、企業調査は約7200企業(有効回答率58.9%)、事業所調査は約7100事業所(同69.3%)、個人調査は約2万1000人(同45.8%)に行っている。
調査結果をみると、教育訓練の実施状況は、OFF-JTを実施した事業所割合は、正社員では72.4%(前回平成25年度調査69.9%)、正社員以外では34.0%(同34.1%)となっている。また、計画的なOJTの実施率は、正社員では62.2%(前回59.4%)、正社員以外では31.1%(同28.6%)となった。
OFF-JTに支出した費用について、「過去3年間」の実績と「今後3年間」の見込みをみると、正社員では、「増加傾向」とする企業割合は「過去3年間」が24.4%、「今後3年間」が37.3%、一方、正社員以外では、「増加傾向」とする企業割合は「過去3年間」が9.1%、「今後3年間」が19.5%となっており、能力開発に支出する費用は、正社員、正社員以外ともに今後上昇する見込みとなっている。
同様に自己啓発支援に支出した費用の実績・見込みをみると、正社員では、「増加傾向」とする企業割合は「過去3年間」が10.3%、「今後3年間」が27.5%、正社員以外では、「増加傾向」とする企業割合は「過去3年間」が3.4%、「今後3年間」が14.9%となった。
企業が重視する教育訓練対象者の範囲をみると、正社員に対しては、「労働者全体を重視する」またはそれに近いとする企業割合が59.6%(前回58.0%)、「選抜した労働者を重視する」またはそれに近いとする企業割合が39.4%(同41.2%)となっている。
自己啓発の実施状況をみると、平成25年度に自己啓発を行った者の割合は、正社員では43.3%(前回44.3%)、正社員以外では16.4%(同17.3%)となっており、ともに2年連続で減少した。
自己啓発を行う上で何らかの問題があるとした労働者割合は、正社員では78.4%(前回78.4%)、正社員以外では70.0%(同69.7%)となっている。自己啓発に問題があるとした労働者の問題点(複数回答)としては、正社員、正社員以外ともに、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(正社員58.9%、正社員以外34.2%)を挙げる割合が最も高くなっており、次いで、正社員では「費用がかかりすぎる」(31.9%)、正社員以外では「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」(33.3%)となった。