熱中症を予防するための対策の徹底を呼びかける
厚生労働省、働災害防止団体などは、職場における熱中症予防対策の一層の推進を図るため、5月から9月までを実施期間(4月は準備期間)とした「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を実施する。
この取組みは今年で3回目となるもので、キャンペーン期間中は、熱中症予防に関する事業場への周知啓発や、熱中症予防対策に関するセミナーの開催、教育ツールの提供などを行うことにより、熱中症予防対策の徹底を図り、重篤な熱中症災害の防止を目指す。また、今年は、これまでの取組みに加え、新たにWBGT基準値に応じた休憩時間の目安や、緊急時の早めの搬送について重点的に情報を発信していく予定としている。
同省がまとめた平成30年の職場における熱中症による死傷災害発生状況(31年1月15日時点の速報値)によると、死傷者数は1128人、死亡者数は29人となっており、29年の発生状況(確定値)と比べ、死傷者数、死亡者数ともに2倍以上となっている。
同省が策定した平成31年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱では、キャンペーン期間中に事業場が実施すべき事項として、①WBGT値(気温に加え、湿度、風速、輻射熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数)の把握・評価、②作業環境管理、③作業管理、④健康管理、⑤労働衛生教育、⑥異常時の措置──などを示している。
具体的には、作業環境管理では、WBGT値が基準値を超えるおそれのある場所で作業を行う場合には、冷房設備・散水設備の設置等を検討しWBGT値の低減対策を行う。また、飲料水、スポーツドリンク等を備え付けた休憩場所を設置する。
作業管理では、WBGT基準値を大幅に超える場合は、原則として作業を中止して、WBGT基準値を大幅に超える場所でやむを得ず作業を行う場合は、単独作業を控え、休憩時間を長めに設定する。また、定期的な水分及び塩分の摂取の徹底などを示している。
さらに、重点取組期間となっている7月の実施事項として、①WBGT値が急激に上昇した場合はWBGT値に応じた作業の中断等を徹底する、②当日の朝食の未摂取、睡眠不足、体調不良、前日の多量の飲酒等について作業前に確認し、巡視の頻度を増やす、③異常を認めたときは、躊躇することなく救急隊を要請する──などを挙げている。