改正労基法の履行確保のため労働局から働きかけ

政府は12月28日、働き方改革法による改正後の労働施策総合推進法に基づく「労働施策基本方針」を閣議決定した。

労働施策総合推進法では、国は、働き方改革を総合的かつ継続的に推進するため、「基本方針」を定めるとしている。

基本方針は、「労働者が能力を有効に発揮できるようにすることの意義」(第1章)、「労働施策に関する基本的な事項」(第2章)、「労働者が能力を有効に発揮できるようにすることに関するその他の重要事項」(第3章)について定めている。

中核である労働政策に関する基本的な事項は、①労働時間の短縮等の労働環境の整備、②雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保、多様な就業形態の普及及び雇用・就業形態の改善、③多様な人材の活躍促進、④育児・介護又は治療と仕事の両立支援、⑤人的資本の質の向上と職業能力評価の充実、⑥転職・再就職支援、職業紹介等に関する施策の充実、⑦働き方改革の円滑な実施に向けた取組──の7項目となっている。

主な内容をみると、まず、労働時間の短縮等の労働環境の整備については、「長時間労働の是正」を初めに挙げている。

具体的には、働き方改革法による改正労働基準法で新たに設けられた時間外労働の上限規制及び年次有給休暇の時季指定の仕組みなど、改正法の趣旨の周知徹底・履行確保に努めるため、都道府県労働局から企業・団体への働きかけを行うほか、労働基準監督機関においては、長時間労働の事業場への監督指導の徹底等を行うとしている。

また、労働基準監督制度の適正かつ公正な運用を図るため、監督指導の実施に際し、すべての労働基準監督官が依るべき基本的な行動規範を定めるとともに、重大な違法事案について指導結果を公表する場合の手続をより一層明確化するとしている。

次に、中小企業に対する支援・監督指導として、監督指導に当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材確保の状況、取引の実態その他の事情に配慮し、中小企業の立場に立った対応を行うとしている。そして、労働基準法、労働安全衛生法等の労働基準関係法令に係る法違反が認められた場合は、当該中小企業の事情を踏まえ、使用者に対し自主的な改善を促していくとしている。