制度導入に当たり企業が行うべき手順などを示
厚生労働省の「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」(座長・今野浩一郎学習院さくらアカデミー長)が12月21日報告書をまとめた。
報告書は、まず、勤務間インターバル制度(労働者の終業時刻から、次の始業時刻の間に一定時間の休息を設定する制度)について、「労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康な生活を送るために重要な制度である」とした。そのうえで、制度導入によるメリット、制度普及に向けた課題及び取組みを示し、加えて、制度を導入するに当たり企業が行うべきことについて「勤務間インターバル制度導入に向けたポイント」としてまとめている。
それによると、制度導入によるメリットとして、①健康維持に向けた睡眠時間の確保につながる、②生活時間の確保によりワーク・ライフ・バランスの実現に資する、③魅力ある職場づくりにより人材確保・定着につながる、④企業の利益率や生産性を高める可能性が考えられる──ことを挙げている。
しかし、一方で制度普及に向けた課題として、制度の認知度が低いこと、制度導入に当たっての手順が十分に分からないこと、制度導入に向けて就業規則を整備するに際して一定の経費を要すること、突発的な業務が発生した際の代替要員の確保が困難なこと──を指摘している。
そして、制度普及に向けた取組みとして、①導入事例集を活用し、行政機関はもとより地域の関係団体等と連携して制度の周知を行う、②制度導入の手順をまとめた「勤務間インターバル制度導入に向けたポイント」を参考に、更なる導入促進を図る、③助成金による導入支援を引き続き行うとともに、労務管理の専門家による相談支援を実施する、④関係省庁が連携を図りながら、取引環境の改善に向けた取組みを一層推進する──などとしている。
また、「勤務間インターバル制度導入に向けたポイント」では、制度導入に当たっての手順(5つのステップ)及び各ステップにおける検討項目と留意事項を示した。
ステップ1は「制度導入の検討」、ステップ2は「実態を踏まえた休息時間確保の制度設計の検討」、ステップ3は「試行期間」、ステップ4は「検証、見直し」、ステップ5は「本格稼動」としている。
具体的な内容としては、ステップ2では、対象者、インターバル時間数、休息時間が次の勤務時間に及ぶ場合の勤務時間の取扱い、適用除外、労働時間管理の方法(出退勤時刻を含めた適正な把握方法)──などについて検討することが想定されるとしている。
インターバル時間数の設定の方法については、「8時間、9時間、10時間、11時間及び12時間など一律に時間数を設定する方法や、職種によってインターバル時間数を設定する方法、義務とする時間数と健康管理のための努力義務とする時間数を分けて設定する場合などがある」としている。
厚生労働省は、報告書の活用を図りながら、働き方改革関連法の周知と併せて、勤務間インターバル制度の普及に取り組んでいくこととしている。