前年度と比べ労災請求件数は減少、認定件数増加

厚生労働省は、平成29年度における石綿(アスベスト)による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況(確定値)をまとめた。

それによると、石綿による疾病に係る労災保険給付の請求件数は1085件となっており、前年度(1109件)と比べ24件(2.2%)減少している。また、支給決定件数(当該年度に請求されたものに限らない)は石綿肺の52件を含め1039件となっている(石綿肺は、じん肺の一種で、23年度から集計を開始)。なお、石綿肺を除いた支給決定件数は987件で、前年度(982件)と比べ5件(0.5%)増加した。

これを疾病別にみると、請求件数は、肺がん443件(前年度427件)、中皮腫571件(同595件)、良性石綿胸水25件(同30件)、びまん性胸膜肥厚46件(同57件)となっている。支給決定件数は、肺がん335件(前年度387件)、中皮腫564件(同540件)、良性石綿胸水39件(同20件)、びまん性胸膜肥厚49件(同35件)となっている。

次に、平成18年3月27日に施行された石綿健康被害救済法に基づく特別遺族給付金の請求・決定状況をみると、請求件数は48件となっており、前年度(36件)と比べ12件(33.3%)増加している。また、支給決定件数(当該年度に請求されたものに限らない)は15件となっており、前年度(13件)と比べ2件(15.4%)増加した。

支給決定件数を疾病別にみると、肺がん14件(前年度10件)、中皮腫1件(同1件)、石綿肺0件(同2件)、びまん性胸膜肥厚0件(同0件)となっている(請求時には疾病名は記載しないため、疾病別の請求件数は集計できない)。

なお、労災保険法に基づく石綿による疾病に係る保険給付の請求件数及び支給決定件数を都道府県別にみると、請求件数が最も多いのは東京の126件、次いで、兵庫91件、大阪87件、北海道77件の順となっている。支給決定件数が最も多いのは、東京の127件、次いで、大阪79件、神奈川71件、兵庫70件の順となった。