非正規の格差是正訴訟 二審で不合理と認める範囲が拡大

「正社員と同じ仕事内容なのに手当などに格差があるのは労働契約法に違反するとして、日本郵便の有期の契約社員3人が同社に損害賠償を求めている訴訟の控訴審判決が、平成30年12月13日に、東京高裁であり、裁判長は、一審の東京地裁判決から賠償額を約75万円増額し、計約167万円の支払いを同社に命じる判決を言い渡した」といった報道がありました。 労働契約法20条では、契約社員(契約期間に定めのある社員)らの労働条件と正社員の労働条件との間に不合理な格差を設けることを禁止しています。原告側は、手当などが正社員と異なるのは同法に違反すると主張しています。一審判決では、正社員に支給される「住居(住宅)手当」と「年末年始勤務手当」が契約社員に支払われないことを違法とした一方、「これらの手当の支払いには、正社員に長期的な勤務を促す意味もある」として、契約社員への支払いは正社員の6~8割が相当だと判断し、計約92万円の支払いを命じていました。これに対して、二審では、「住宅に要する費用は正社員も契約社員も変わらない」などとして、両手当について正社員と同額を支払うべきだと判断しました。また、二審では、正社員は有給、契約社員は無給とされている病気休暇についても不当と判断し、年次有給休暇を取得して受診した原告側の損害を認定しました。しかし、原告側の訴えがすべて認められたわけではなく、たとえば賞与については、二審でも「職務内容に相違がある」などとして、一審と同様に格差を認める判断が下されました。 原告側は、これらの判断を不服として上告する方針のようです。平成30年6月の最高裁判決で、「賃金総額だけでなく、手当の内容を個別に判断する」という考え方が示されましたが、今回の東京高裁での二審判決は、それに沿って個別の判断をし、一審の判決を変更した形になっています。