第三次産業では死亡・死傷者数ともに増加
第三次産業での労働災害の増加が深刻な状況になっている。厚生労働省がまとめた今年1月~9月の労働災害発生状況(30年10月9日現在の速報値)によると、全産業計の死亡者数が577人、同休業4日以上の死傷者数が8万1452人となっている。前年同期との比較では、死亡者数は52人(8.3%)減少、死傷者数は4800人(6.3%)増加している。業種別にみると、死亡者数は製造業や建設業では減少しているが、第三次産業では増加、また、死傷者数は第三次産業での増加幅(対前年同期比8.4%増)が最も大きくなっている。
まず、業種別にみた死亡者数は、製造業111人(対前年同期比5人減)、鉱業0人(同10人減)、建設業203人(同9人減)、交通運輸事業9人(同1人増)、陸上貨物運送事業57人(同23人減)、港湾運送業5人(同1人減)、林業24人(同6人減)、農業、畜産・水産業11人(同12人減)、第三次産業157人(同13人増)となっており、交通運輸事業と第三次産業で増加しているほかは減少している。
第三次産業の死亡者数(年確定値)の増減率を前年との比較が可能な平成25年以降についてみると、25年が対前年比5.3%減、26年が同8.9%減、27年が同4.2%減、28年が同0.0%、29年が同1.6%減と減少傾向が続いているが、30年は増加に転じることが懸念される状況になった。
また、第三次産業の内訳では、第13次労働災害防止計画(計画期間:2018年度~2022年度)の重点業種に挙げられている小売業、社会福祉施設、飲食店のいずれも前年同期と比べて増加している。そのほかでは、保健衛生業、清掃・と畜、警備業での増加が目立つ。
次に、業種別にみた死傷者数は、製造業1万8134人(対前年同期比693人増)、鉱業133人(同7人減)、建設業9943人(同98人増)、交通運輸事業2230人(同169人増)、陸上貨物運送事業1万318人(同778人増)、港湾運送業223人(同8人減)、林業929人(同46人増)、農業、畜産・水産業1818人(同107人増)、第三次産業3万7724人(同2924人増)となっており、鉱業と港湾運送業で減少しているほかは増加している。なお、対前年増減率では、第三次産業が8.4%の増加と最も大きい。
第三次産業の死傷者数(年確定値)の増減率を前年との比較が可能な平成25年以降についてみると、25年が対前年比0.8%減、26年が同1.8%減、27年が同0.1%減、28年が同3.8%増、29年が同3.2%増となっており、最近は増加傾向にある。
また、第三次産業の内訳では、金融・広告(対前年同期比53人減)を除きいずれの業種も前年より増加しており、第13次労働災害防止計画の目標として、死傷災害を死傷年千人率で5%以上減少が掲げられている重点3業種では、小売業が818人(9.5%)増、社会福祉施設が516人(10.0%)増、飲食店が114人(3.8%)増となった。